2007 Fiscal Year Annual Research Report
峡部オーガナイザーFgf8による小脳誘導メカニズムの解明
Project/Area Number |
06J05334
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原田 英斉 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 小脳分化 / FGF8 / Ras / ERK経路 / Pea3サブファミリー / DN-Pea3 |
Research Abstract |
小脳分化には、峡部オーガナイザーFGF8によってRas/ERK経路が強く活性化されることが必要である。ERKの下流で活性化され、小脳分化を誘導する遺伝子を探ろうと考え、Ras/ERK経路によって活性化されるEtsファミリーのPea3、Ermに着目した。Pea3、Ermの発現は中脳後脳境界を中心とした勾配を形成していた。 Pea3、Ermは、Fgf8により誘導され、ドミナントネガティブフォームの(DN-)Rasによって抑制された。これらの結果から、Pea3、Ermの発現はFGF/Ras/ERK経路を介して制御されていることを確認した。DN-Pea3を作成し強制発現したところ、後脳マーカーであるGbx2、Fgf8が抑制され、中脳マーカーであるOtx2が後脳に異所的に誘導された。さらに、Pea3の全長を単離し強制発現すると、Gbx2、Fgf8が中脳で異所的に誘導され、Otx2は抑制された。これにより、Pea3は、中脳後脳の領域形成に関わっていることが示唆された Pea3を強制発現し、14日後の形態を観察したところ、中脳の肥大が見られた。切片を作成し組織学的な検討を行ったところ、本来の中脳視蓋のSO層に、小脳外顆粒様の細胞群が観察された。 ERKによるPea3のリン酸化を促進する為にPea3とFgf8aを共発現したところ、本来、中脳視蓋が分化する領域の後端部に小脳様の構造が形成される個体が観察された。さらに、小脳分化に必要であることが報告されている転写因子Irx2との関係を調べる為に、DN-Irx2/Pea3/Fgf8aの強制発現実験を行った。DN-Irx2のみを強制発現すると、小脳分化が抑制され、後脳に異所的な視蓋が分化されることが報告されているが、Pea3はDN-Irx2の効果をレスキューした。 以上の結果から、Pea3がIrx2の下流で小脳分化へ関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)