2006 Fiscal Year Annual Research Report
径方向偏光レーザー光による新しい不透明微粒子精密操作法の実現と応用
Project/Area Number |
06J05354
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小澤 祐市 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | レーザー / 軸対称偏光 / 光トラッピング / ベクトル回折 / 不透明微粒子 |
Research Abstract |
本年度は,径方向偏光(径偏光)レーザー光を直接発生させるためのレーザー共振器の開発を行った.これまで偏光選択素子として円錐ブリュースタープリズムによる径偏光発振レーザー共振器の開発を行ってきたが,より簡便な方法として一軸結晶の複屈折性を利用した径偏光発生の可能性について着目した.そこで,大きな複屈折性を示すYVO4結晶を,その光学軸がレーザー共振器軸と平行になるように共振器内に配置したNd : YAGレーザー共振器を構築した.特に,共振器が凹面ミラーと平面ミラーからなる半球面系共振器の安定限界長付近において,中心に穴の開いたドーナツ形状の強度分布を有する径偏光ビームの選択的発振を得ることに成功した.この手法を用いることで,出力が1W以上のシングル横モード径偏光レーザー発振が得られた.これにより,当初のレーザー出力目標を達成したため,次年度以降ではこのビームを用いた不透明微粒子の光トラッピング実験を進める.また,異なる曲率の凹面ミラー対からなる共振器中に複屈折結晶が存在する場合には,レーザー共振器の安定境界において複屈折結晶の常光線および異常光線に相当する方位偏光・径偏光のそれぞれについて選択的な発振が得られた. これと並行して,高次径偏光ビームの集光特性に関する知見を得るため,ベクトル回折理論に基づく数値計算を行った.特に,二重リングの強度分布をもつ高次径偏光ビームは,高開口数レンズにより集光することで,その集光点におけるスポットの半値全幅が波長の0.4倍程度となる結果が得られた.これは直線偏光ガウスビームおよび基本径偏光ビームにおける集光時のスポット径よりも小さなスポットが得られる可能性を示唆しており,高分解能レーザー顕微鏡や高密度光記録への応用が期待される.
|
Research Products
(8 results)