2006 Fiscal Year Annual Research Report
強相関量子スピン系における量子臨界点近傍の物性解明
Project/Area Number |
06J05407
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
川島 健司 青山学院大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 遷移金属化合物 / 強相関 / 置換効果 |
Research Abstract |
K_2NiF_4型Sr_2VO_4は、反強磁性(T_N=40K)を示す半導体であるという報告が最も多い。本研究では、試料合成の結果、単相試料(多結晶)の合成に成功し、またこの試料に対し基礎物性の測定を行ったところ、同様の振舞いを確認した。この試料を用いてK_2NiF_4型Sr_2VO_4の物性解明を目的とした各種測定を行った。 電子線回折により、秩序形成等に伴い期待される格子歪みの観測を行った結果、室温(296K)では、I4/mmmで矛盾無く説明できるK_2NiF_4型の結晶構造をとっていることがわかった。また、約40K以下の低温では、基本反射以外の弱い反射が数点確認された。K_2NiF_4型Sr_2VO_4については、これまでに低温における構造相転移等の報告はされていない。低温で出現した反射については、同型結晶構造の遷移金属酸化物によくみられる構造相転移がK_2NiF_4型Sr_2VO_4でも存在し、これに伴う超格子反射がその起源となっている可能性があると考えている。 モット転移近傍の物性解明では、K_2NiF_4型Sr_2VO_4に対し、バンド幅制御及びフィリング制御を行った。バンド幅制御では、印加圧力:P=20GPaまでの高圧下電気抵抗測定を行った。その結果、印加圧力増大に伴い最低温で数MΩ以上あった抵抗率の値が数Ω程度まで劇的に減少した。しかし、電気抵抗の温度依存性は、P=20GPa下でも室温から最低温(2K)まで半導体的挙動のままであり、金属化(モット転移)の確認には至らなかった。P=20GPaでは、系の基底状態を変化させるほどの有効なバンド幅制御にはなっていないと考えられる。フィリング制御では、Sr^<2+>サイトへの他元素置換を行った。その結果、Sm^<3+>,Eu^<3+>の両元素が置換可能であることを確認し、組成をSr_<2-x>2_xVO_4(M=Sm,Eu)としたとき、x=0.1までの試料合成に成功した。電気抵抗率測定の結果、半導体的挙動ではあるが、抵抗率が数mΩ・cmまで減少することを確認した。また、磁化率測定の結果からも、転移点,有効ボーア磁子の値等の変化が確認できることから、有効なキャリアドープが行えているものと考えられる。
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Research Products
(1 results)