2007 Fiscal Year Annual Research Report
外場応答性フォトニック結晶による蛍光物質の励起状態の制御
Project/Area Number |
06J05453
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
久保 祥一 Tokyo Institute of Technology, 資源化学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | メタマテリアル / 屈折率 / ナノ粒子 / コロイド / 非線形流体 / 過渡吸収 / 液晶 |
Research Abstract |
金属と誘電体を用いたコア・シェル型粒子や金属ナノ粒子を流体に分散した系は,その単純な構成にもかかわらず,可視光の領域で屈折率が負や1以下の低い値を示す可能性が理論的に示されており,メタマテリアルとしての展開が期待される。しかし,これまでに実験的な検討はほとんど行われていなかった。このような材料の実現可能性を検証するため、アルカンチオールで保護された金のナノ粒子を合成し,これを溶媒であるドデカンに分散した試料の屈折率を評価した。その結果,溶媒のみの屈折率とは異なり,屈折率の実数成分に極大値と極小値を示す波長分散を示した。また,この波長は金ナノ粒子のプラズモン共鳴のピーク波長と一致した。さらに,Mie散乱理論による理論計算との比較を行った。金の濃度が異なる数種類の試料を調整し,その屈折率の測定結果を計算詰果と比較したところ,両者がよく一致することが分かった。このことから,Mie散乱理論に基づく計算結果が妥当であると言うことができる。さらに,入射光強度によって屈折率や吸光度が変化する非線形流体を,外部刺激応答材料として着目した。ジフェニルアセチレン誘導体である4-ブチル4'-プロピルジフェニルアセチレンは二光子吸収によって非線形応答を示すことが分かっていた。この物質の吸収係数は励起状態における遷移エネルギーや速度定数に依存する。今回,過渡吸収スペクトルの測定により,三重項励起状態を検討した。その結果,可視光の範囲にブロードな吸収バンドが観測され,その寿命は約110nsであった。この吸収バンドの極大波長は,分子軌道計算から得られた三重項から高次励起状態への遷移エネルギーと一致したことから,観測された過渡吸収は三重項励起状態に由来するものであると言うことができる。これらの結果は,新規光学材料を探索する上で重要なものである。
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Research Products
(4 results)