2007 Fiscal Year Annual Research Report
経済物理学を用いた経済現象に潜む激しい揺らぎの統計性の解明と制御方法の開発
Project/Area Number |
06J05511
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
水野 貴之 Hitotsubashi University, 経済研究所, 講師
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Keywords | 経済物理学 / 金融市場 / POS / 電子マネー / 臨界現象 / パレート則 / 企業財務 / マーケティング |
Research Abstract |
平成19年度は以下の研究成果を出した。 1.金融市場の不安定さを数値化した市場のポテンシャルの値を、短い時間の為替レートから見積もる手法を開発した。また、理論的にポテンシャルと為替レートの拡散の関係を明らかにし、暴落のリスクの推定を可能にした。これらの研究成果を応用し、東京工業大学の高安美佐子研究室と共に、リアルタイムに為替レートを分析し、逐次為替レートの予測や暴落のリスクを表示するシステムを構築した。このシステムは、三菱東京UFJ銀行の協力の下でテスト運用をおこなっている。 2.これまでの経済物理学は金融市場や企業財務の研究に集中しており、一般の人々の消費活動に潜む揺らぎの特性については研究がされてこなかった。そこで、コンビニエンス・ストアの2億枚のレシートを用いて、顧客の買い物金額の揺らぎについて解析をおこなった。その結果、買い物金額の揺らぎについても、金融市場や企業財務に潜む激しい揺らぎと同じ特徴があることが明らかとなった。これにより、これまで経済物理で培った市場を制御するための手法などが、消費者行動にも応用でき、物理学とマーケティングの新たな複合領域を切り開くことができた。 3.従来の多くの企業成長モデルでは、企業の新規参入や倒産、合併、分割がランダムに起きることを仮定している。この仮定を、日本の明治からの銀行業のデータを用いて、ランダムに起きると仮定することは、平均場的には正しいことを実証論的に証明した。
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Research Products
(17 results)