2007 Fiscal Year Annual Research Report
学校現場の多層的なシステムにおける学習評価の解明と新しい学習評価法の提案
Project/Area Number |
06J05515
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村山 航 Tokyo Institute of Technology, 大学院・社会理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 達成目標 / 動機づけ / 関心・意欲・態度の評価 / 信頼性 / 妥当性 / フィードバック / 相対評価 |
Research Abstract |
本年度は,学校における動機づけと評価との関係を見るのに不可欠な尺度の作成を行った.具体的には,達成目標の尺度のこれまでの問題点を理論的観点から考察し,その考察に基づいて新しい尺度を作成し,信頼性と妥当性を検討した.その尺度の文化間(アメリカと日本)の等価性も実証された.また,教師が生徒の動機づけをどのように評価しているのかという問題意識に立ち,授業観察実験を行った.具体的には,実験協力者にある特定の授業を長期間観察してもらい,生徒の動機づけや学習行動の評価を求め,実際の生徒の自己報告との関係を検討した.その結果,観察者は生徒の動機づけに関して信頼性の高い評価はできるが,正確には評価できないこと(妥当性が低い),しかも時聞が経過するにつれむしろその正確さは低下することが明らかになった.メカニズムを検討したところ,観察者は時間の経過とともに生徒の学習行動に基づいて動機づけを推論するが,生徒の動機づけはそれほど学習行動との相関が高くないため,推論がうまくいかなくなることが示唆された. 最後に,教師の評価が生徒の学習にどのような影響を与えるかを調べるための実験的検討を行った.その結果,相対評価的なメッセージを与えることで,生徒の短期的な記憶は向上するが,長期的な記憶はむしろ低下することが明らかになった.こうした結果は,日本で問題になっている学力の剥落現象に示唆を与えるものと思われる.来年度もこれらの研究を継続して深めていく予定である.
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Research Products
(4 results)