2006 Fiscal Year Annual Research Report
In Silico再構成による生化学振動子を中核とした生物時計の機能解析
Project/Area Number |
06J05539
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 浩史 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 生物時計 / シアノバクテリア / 試験管内再構成系 / KaiCリン酸化リズム / 同期 |
Research Abstract |
シアノバクテリアの生物時計は時計タンパク質KaiCのリン酸化振動が主要な役割を果たし、このリズムがゲノムワイドな転写活性のリズムを引き起こしていることが知られてきた.また近年,このリン酸化振動はKaiA, KaiBタンパク質と試験管内で再構成されることがわかった.マクロな生物時計の諸性質がミクロな化学反応である再構成系を通して説明できるかどうかを検討するため,様々な生化学的パラメータの検討を行い,次の知見を得た. 1)再構成系のリン酸化振動は幅広い温度範囲で周期が変化せず,温度補償性を有していた.これはシアノバクテリア生体内の生物時計と一致する.またさまざまな周期の温度サイクルに対して,同調することも確認された. 2)KaiA, KaiBの量比を検討することで18h-30hの周期のリン酸化サイクル糞再構成できた.この結果はKaiCリン酸化振動の由来を数理モデルを立てて検証する上で役に立つと考えられる. 3)さまざまな位相の再構成系を混合してみたところ,振幅が小さくなることなく振動が継続することが分かった.これは再構成系内部に強い同期機構が存在することを意味する.すなわち再構成系は位相をばらつかせるような刺激(KaiCの合成など)に対して抵抗する性質を備えていると考えられ,ひいては生物時計の安定性に寄与していると予想される.また,同期メカニズムに関してはKaiC六量体間の単量体の交換であることを免疫沈降法などにより確認した。
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