2006 Fiscal Year Annual Research Report
真空アーク蒸着法による高密度アモルファスカーボン膜の合成
Project/Area Number |
06J05548
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
堀越 睦美 (岩崎 睦美) 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | アモルファスカーボン / 真空アーク蒸着法 / 陰極温度 / 厚膜 / ドロップレット / 放電周波数 |
Research Abstract |
低温・短時間(200℃,10分以内)でa-C膜を合成すると,膜の変質を抑えつつ,内部応力緩和に有効であると考えられる.真空アーク蒸着法では,アーク放電1回あたりの堆積量が一定であることから,周波数を増加させると単位時間当たりの成膜速度も噌加し,高成膜速度つまり短時間での厚膜合成を実現できると考えられる. アーク放電周波数0.125,0.25Hzにおけるドロップレット数密度には大きな違いは観察されなかったが,0.5Hzでは0.125,0.25Hzの時に比べ増加している.これは,放電周波数増加により,陰極温度が上がったためであると考えられる.そこで,陰極温度を25℃として合成したa-C膜のドロップレット数蜜度と,外部のヒーターを用いて陰極温度を90℃として合成したa-C膜のドロップレット数密度を比較すると陰極温度を90℃として合成したa-C膜のドロップレット数密度が多かった。 陰極温度は陰極-陽極間を流れる電子の量に影響されると考えられる.陰極-陽極間電流がドロップレット数密度に与える影響を調べるために,陰極-陽極間電流波形が異なるが,放電1回あたりの堆積量がほぼ同じである2種類の放電条件を選択し,それぞれアーク放電周波数を0.5Hzにした場合のドロップレット数密度を測定した.陰極-陽極間を流れる電子の量が少なく陰極温度上昇が少ないと考えられる1000V,660μFで合成したa-C膜のドロップレット数密度は電子の量が多く陰極温度上昇が多いと考えちれる,500V,2640μFで合成したa-C膜に比べ減少していた. 以上より,陰極温度はドロップレット数密度に大きな影響を与えているといえる.また,陰極温度は陰極-陽極間電流の波形を矩形に近くすることで,増加を抑えることができることがわかった.よって,アーク放電周波数を増加させ,高成膜速度を実現できる放電条件を示すことができた.
|
Research Products
(2 results)