2006 Fiscal Year Annual Research Report
1/4フィルド電荷移動錯体系における超高速光誘起相転移発現機構の探求
Project/Area Number |
06J05622
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
CHOLLET Matthieu 東京工業大学, フロンティア創造共同開発センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 1 / 4フィルド / 精密構造解析 / 金属-絶縁体転移 / 構造相転移 / 分子変形 / マキシマムエントロピー法 / 電子密度解析 |
Research Abstract |
室温で(EDO-TTF)_2PF_6の構造データを測定し構造精密化を行ったところ、構造モデルとの一致度をあらわすRファクターは7.4%であった。精密化により得られたEDO-TTF分子の構造は平面から湾曲しており、過去に報告された金属相の解析結果と一致する。また、分子の末端エチレン(-C_2H_4-)の温度因子が分子面に垂直な方向に大きくなっている。これは熱振動による分子末端のエチレンにdisorderを生じていることが原因と考えられる。PF_6分子はdisorderを示しており、splitting modelを用いて精密化を行った。同様に絶縁相でのデータ測定を250Kで行った。R-factorは6.3%であった。精密化により得られたEDO-TTF分子の構造はひとつの分子が平面的(Flat)であるのに対し、他の分子は室温相の構造からより湾曲(Bent)している。Bent分子が0価で、Flat分子は+1価に対応しており、この価数分配を仮定するとEDO-TTF分子は積層方向に0,+1,+1,0と価数配列した4量体を形成している。これは過去に報告された結果と一致する。さらに、flat分子の末端エチレン(-C_2H_4-)の温度因子のみが面に垂直な方向に大きくなっており、この温度では熱振動が凍結していないか空間的に無秩序状態であると考えられる。また、PF_6分子は1軸周りのdisorderが存在しており,やはり完全な秩序化はしていないことがsplitting modelによる精密化から明らかとなった。これらのdisorderは200K、150Kで解析を行ったが本質的に差は見られなかったものの,温度を下げていくと、flatなEDO-TTF分子の末端エチレン(-C_2H_4-)の温度因子とPF_6の一軸周りのdisorderの度合いが小さくなった。さらに、構造解析結果を元にマキシマムエントロピー法による電子密度解析(MEM解析)を行った。どちらの相においても原子位置を中心として電荷が存在しており、分子の形を捉えることが出来た。
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Research Products
(1 results)
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[Book] "Gigantic and Ultrafast Photoresponse in Molecular Charge Ordering System", in "Multifunctional Conducting Molecular Materials"2007
Author(s)
M.Chollet, S.Koshihar, L.Guerin, T.Ishikawa, K.Matsuda, T.Hasegawa, H.Yamochi, G.Saito, R.Tazaki, S.Adachi
Total Pages
305
Publisher
Royal Society of Chemistry