2006 Fiscal Year Annual Research Report
ポリアニオン系化合物のリチウム挿入脱離に伴う電子構造解析
Project/Area Number |
06J05624
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
白川 淳一 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | リチウムイオン二次電池 / 正極材料 / ポリアニオン系 / 第一原理計算 / X線吸収分光 / 電子構造 |
Research Abstract |
近年、リチウムイオン二次電池用新規正極材料候補としてポリアニオン系と分類される化合物Li_xM_y(XO_4)_z(M;3d遷移金属、X=S,P,V,Moなど)が注目されている。これらの化合物は通常の酸化物材料とは異なる特異な電子構造を有しており、同じ酸化還元対でも酸化物材料に比べて飛躍的に高電位を示す。そのXO_4四面体がもたらす特異な電子構造、及びその充放電反応機構と電子構造変化の関連性を解明し、ポリアニオン系正極材料の高電位特性との関連性を体系的に理解することが本研究の目的である。遷移金属種Mによる電子構造変化の違いという観点からは、逆スピネル型酸化物LiMVO_4(M=Mn,Co,Ni)を対象物質として、第一原理計算によって検討を行った。その結果、M=Mn,Coの場合はリチウム脱離過程において主に遷移金属周囲で電荷補償が行われるのに対してM=Niの場合ではむしろ酸素による電荷補償が支配的であることが明らかとなった。従って、遷移金属による違いが高電電圧特性に寄与する要因として、主に酸素の電荷補償が大きく関与していることが示された。次にポリアニオン種Xの違いという観点からはNASICON型、及びその関連物質Li_3Fe_2(PO_4)_3、Fe_2(XO_4)_3(X=S,Mo)を対象物質としてX線吸収分光、Mossbauer分光、第一原理計算によって詳細に検討を行った。その結果、リチウム挿入過程において鉄の還元が起きるとともにFe 3d軌道間の電子配置変化、及びFe 3d-O 2p結合の再混成効果が起こることが示唆された。これらの電子構造変化はポリアニオン種によって大きく影響され、電池電圧が高くなるほどFe 3d電子配置変化が支配的であることを見出した。
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Research Products
(5 results)