2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J05625
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
白田 晶人 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 構造形成 / 重力法則 / 観測的宇宙論 / シミュレーション / 銀河統計 |
Research Abstract |
重力法則を変更したときの宇宙の構造形成の変化を、前年度よりも更に高次の統計量を用いて議論した。またシミュレーションを行うことで、これまで用いてきた摂動論の妥当性を評価し、さらにこれらの予言とSloan Digital Sky Survey(SDSS)で行われた実際の観測結果とを比較することで、重力法則の変更に対して、より正確な制限を与えた。 まず、重力法則が変更された場合の質量密度ゆらぎの摂動論を議論し、線形成長、さらにはその上のオーダーである非線形成長に対する表式を与えた。これらは一連の微分方程式群を数値的に解くことで得られる。そこから、重力法則が変更された場合のバイスペクトルの理論予言を与えた。 さらに、非線形成長を含めたゆらぎの統計量(パワースペクトル、バイスペクトル)を議論するため、N体シミュレーションのコードを重力法則が変更した場合に拡張し、シミュレーションを行った。またSDSSの観測と比較するために、観測領域、密度等が同じであるモックデータをシミュレーションから作成した。 前年度行った準解析的方法によって得られるパワースペクトル、また摂動論を用いたバイスペクトルが、シミュレーションの結果とよく一致していることを確認し、理論的手法が有効であることを示した。更に、モックデータとSDSSの観測結果とを比較し、銀河バイアスに対し線形を仮定した場合は、バイスペクトルを用いたほうが重力法則の変更に対してよく制限できることを示した。また銀河バイアスに非線形項を含めて考えた揚合は、バイアスパラメータに対する制限を与えることができ、今後の様々な宇宙論的観測で得られるであろうバイアスの情報と組み合わせることで、重力法則の変更に対し更に厳しく制限できる可能性があることを示した。 これらの結果は論文としてまとめ、Physical Review D誌に投稿予定である。
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