2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J05625
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
白田 晶人 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 構造形成 / 重力法則 / 観測的宇宙論 / シミュレーション / 銀河統計 / ダークエネルギー / バリオン音響振動 |
Research Abstract |
重力法則を変更したときの宇宙の構造形成の変化を、ゆらぎの統計量であるパワースペクトルとバイスペグトルに注目し、理論計算とシミュレーションを用いて議論した。理論計算は、重力法則が変更された場合の質量密度ゆらぎの摂動論を議論し、線形成長、さらにはその上のオーダーである非線形成長に対する表式を用いて統計量を計算した。また、N体シミュレーションのコードを重力法則が変更した場合に拡張し、シミュレーションを行った。 まず、理論計算とシミュレーションの結果がよく一致していることを確認し、理論的手法が有効であることを示した。更に、シミュレーションや理論計算とSDSSの観測結果とを比較し、重力法則の変更に対し制限を与えた。また、重力法則を変更した場合の非線形バイアスに対する制限も与え、今後の様々な宇宙論的観測で得られるであろうバイアスの情報と組み合わせることで、重力法則の変更に対し更に厳しく制限できる可能性があることを示した。これらの結果は論文としてまとめ、Physical Review D誌に掲載した。 また、最近ダークエネルギーの性質を調べるために注目されているのが、銀河分布内に現れるバリオン音響振動(BAO)である。パワースペクトルの中に弱い振動のシグナルとして現れるため、非線形性や赤方偏移空間への変換をより精密に議論する必要がある。そこで、BAOの特徴的な振動を様々な方法で抜き出し、そめ非線形性、赤方偏移空間への変換を理論的に取り扱い、依存性を定量的に評価した。また、非線形性を論ずるうえで強力なツールとなるN体シミュレーションに関しても、その精密さを再評価し、結果これまでは無視されてきた有限のモードの効果が、BAOを取り扱う精度では、実は大きな影響を与えることがわかった。
|
Research Products
(3 results)