2007 Fiscal Year Annual Research Report
架橋型ポリベンゾシクロブテンの逐次活性化による多環式芳香族化合物の合成
Project/Area Number |
06J05628
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 武明 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 多環性芳香族化合物 / 環拡大反応 / ベンゾシクロブテン / ベンザイン / 環の選択性 |
Research Abstract |
本研究では、高度なひずみ構造を有するベンゾシクロブテンに着目し、その独特の反応性を利用した新規合成手法の開発と、それらを利用した生理活性天然物の合成研究を行った。はじめに、ビス(ベンゾシクロブテン)誘導体の反応性に関する研究とその合成的応用を検討した。その結果、2種類のベンゾシクロブテンをエテニル基で繋いだビス(ベンゾシクロブテン)を用い、二つの4員環に順次、選択的に環拡大反応を起こさせることにより、様々な4環式芳香族化合物を選択的に合成する手法の開発に成功した。具体的には、4員環上の酸素官能基の数が異なる種々のベンゾシクロブテンを組み合わせると、一方の4員環の選択的な反応が進行すること、また、酸素官能基の数が同じ場合には、保護基の違いによっても選択性が発現するという興味深い結果が得られた。さらに、この方法を応用して、曲がり型に縮環した4環骨格をもつベンズ[a]アントラセンキノン誘導体と直線型に縮環したナフタセンキノン誘導体を作り分ける手法を開発できた。すなわち、一度目の環拡大反応で得られた中間体を芳香化させた後、再度加熱することにより二度目の環拡大反応を進行させると、ベンズ[a]アントラセンキノン誘導体が得られる。一方、同じ中間体に対し、酸化的に二重結合を導入した後に二度目の環拡大反応を行うと、ナフタセンキノン誘導体が選択的に得られた。 上述の研究で得られた知見を応用して抗腫瘍性物質ランドマイシン類の合成研究に着手した。検討の結果、アルケニルベンゾシクロブテンの環拡大反応を利用する合成手法を開発することができた。すなわち、5、6位の水和部位を含むAB環部を合成し、これをD環部前駆体であるベンゾシクロブテノンと結合させ熱的環拡大反応によって4環式母核を構築した後、数工程を経て6位に水酸基をもつランドマイシノンのトリメチルエーテル体を得ることに成功した。一方、同様の方法論を応用し、母核の5位に水酸基をもつ異性体を合成する経路を開発することにも成功した。
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Research Products
(2 results)