2006 Fiscal Year Annual Research Report
架橋型ポリベンゾシクロブテンの逐次活性化による多環式芳香族化合物の合成
Project/Area Number |
06J05628
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 武明 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 多環性芳香族化合物 / 環拡大反応 / ひずみ化合物 / ベンゾシクロブテン / ハロゲン化 / テトラロン / ジヒドロナフタレン |
Research Abstract |
本研究では、高度なひずみ構造を有するベンゾシクロブテンに着目し、その独特の反応性を利用した新規合成手法の開発と、それらを利用した生理活性天然物の合成研究を行った。 一つ目に、アルケニルベンゾシクロブテンの新規活性化法の開発を検討した結果、アルケニルベンゾシクロブテノール誘導体の連続的環拡大反応によって種々の多環式芳香族化合物が位置選択的に得られることを見出した。すなわち、アルケニルベンゾシクロブテノール誘導体に適切なハロゲン化剤を作用させると、アルケニル基の求電子的な活性化により四員環部位が五員環への環拡大反応を起こす。その結果生じるヨウ化メチルインダノンに、二ヨウ化サマリウムを作用させると、分子内Barbier反応が進行し、生じた三環性シクロプロパノール中間体の環開裂、芳香化によりナフトール誘導体を収率良く与える。この一連の反応は同一反応容器内で連続的に行うことが可能であり、ビニル基およびベンゾシクロブテン上に様々な置換基を有する基質から、対応する多置換ナフトール類を収率良く得られる。また、適切な前駆体を設定すると、四環性化合物やテトラロン誘導体の選択的合成も可能である。さらに、この手法は、アルケニルベンゾシクロブテンの熱的な環拡大反応による生成物の位置異性体を選択的に与えるため、合成的に有用である。二つ目に、アルケニルベンゾシクロブテンの環拡大反応を基盤とした抗腫瘍活性ポリケチド、ランドマイシン類の合成研究を行った。すなわち、ランドマイシンに代表される一連の化合物は、ナフタザリン骨格と芳香族A環が5-6位の飽和結合を介して結ばれた特徴的な骨格を有する点で興味深い。本研究ではベンゾシクロブテン誘導体の環拡大反応を鍵として、特徴的な母核構造を持つこれらの部分骨格を位置選択的に合成できることを見出した。
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Research Products
(1 results)