2006 Fiscal Year Annual Research Report
大容量光通信ネットワークのための周期多層膜構造による可変光機能デバイス
Project/Area Number |
06J05630
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
須田 悟史 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 非線形位相シフト / 非線形光学効果 / 光カー効果 / 非線形エタロン / 全光学素子 / 位相変調 |
Research Abstract |
40Gb/sを超える超高速光伝送システムは波長分散と自己位相変調等の非線形光学効果における波形劣化の影響が深刻である。波長分散は線形光学効果であり、分散補償技術による完全なパルス整形が可能であるが、強度依存の非線形光学効果における波形劣化は線形補償では無力である。そこで本研究では可飽和吸収体を挟んだ非線形エタロンを用い、入力パワーによって可飽和吸収体の屈折率を変化させ、位相を変化させるデバイスを提案した。入力パワーに応じて得られる位相が変化するため、自己位相変調によって発生したパルス内の位相を補償する事ができ、超高速光通信における長距離光伝送を実現できる。 本年度は、まず十分なシミュレーションを行った上で、実際にデバイスを製作し位相特性の測定を行った。理論値と実験値はほぼ一致し、デバイスの多層膜構造を変化させる事により、正と負両方の符号を得られる特性を発見し、非線形光学効果を補償可能なデバイスへ一歩踏み出した。負の位相は非線形光学効果を補償するデバイスとして機能するのは元来の提案であるが、正の位相シフトはパルス圧縮や半導体レーザーのチャープ補償に利用可能である。共振器構造を用いる事で非常に低いパワーで大きな位相シフトを得る事ができる事が分かった。また、デバイスの応答速度は可飽和吸収体のキャリア回復時間に関係し、通常の状態だとキャリア回復時間は1ns程度である。40Gb/sのような超高速パルスには応答させるためには10ps程度のキャリア回復時間が必要という問題点があったが、デバイスに逆バイアスを印加する事によってキャリア回復時間を自由に制御し、超高速パルスにおける位相応答波形を測定した。 今後は実際に長距離ファイバ伝送した時の非線形光学効果を補償する伝送実験を行う。またデバイスの構造の最適化で大きな位相シフトが得られるため、最適構造の探索を元に、位相変調器の応用など期待がもてる。
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