2006 Fiscal Year Annual Research Report
有機分子の界面配向秩序および界面エネルギ構造の評価と有機デバイスへの応用
Project/Area Number |
06J05641
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田口 大 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 界面配向秩序 / アンカリング / 配向オーダーパラメータ / 液晶 / ポリイミドLB膜 / コマンドサーフェス / 偏光吸収法 / 光第2次高調波発生法 |
Research Abstract |
液晶分子の界面配向秩序を光学的に評価する手法を確立した。液晶分子として4-n-pentyl-4'-cyanobiphenyl(5CB)を用いた。5CBは棒状で上下の向きがあるという基本的な分子構造をもつ分子である。このような分子の配向秩序は配向オーダーパラメータS_nを用いて定量的に評価できる。ここに,n次の配向オーダーパラメータはS_n=<P_n(cosθ)>で定義される。P_nはn次のLegendre関数,0【less than or equal】θ【less than or equal】Пは分子長軸の基板垂線方向からの傾き角,<>は全ての分子にわたる統計的平均を表している。界面の特徴はS_1およびS_3,液晶の特徴はS_2に最も大きく現れる。この点に注目して光第2次高調波発生(SHG)法および偏光吸収法を組み合わせることでS_1,S_2,S_3を併せて決定し界面に特徴的な液晶の配向秩序を定量的に評価できる測定系を構築した。実際に5CBの大気中蒸着を行いながら配向秩序をその場観察した。この際,液晶の界面現象であるアンカリングの理解を進める観点から基板としてポリイミドLB膜累積基板とアゾベンゼンLB単分子膜累積基板を用いて実験を行った。ポリイミドは液晶ディスプレイの配向膜として汎く採用されており,アゾベンゼン単分子膜は光刺激による液晶配向制御材料として注目される材料である。このような実験から,ポリイミドLB膜の累積層数やアゾベンゼンの光照射条件によって液晶蒸着膜の配向秩序が変化し,S_1,S_2,S_3を通しての評価が界面に特徴的な液晶の配向秩序をとらえるための重要な見方であることを示した。この段階では実験の再現性に課題を残していたが,蒸着を安定にすることで再現性を改善し,ポリイミドLB膜の累積層数とS_2に相関があることを定量的に示した。これらについては国際学会で発表し,雑誌論文でも報告し掲載が決まっている。
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Research Products
(3 results)