2006 Fiscal Year Annual Research Report
海洋地殻とカンラン岩のマントル最下部条件までの融解実験:マントル化学的進化の解明
Project/Area Number |
06J05645
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
舘野 繁彦 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 地球科学 / 高温高圧実験 / ダイアモンドアンビルセル |
Research Abstract |
本研究では、マントル物質(海洋地殻、カンラン岩)の融解実験をレーザー加熱式ダイアモンドアンビルセル(LHDAC)で行う。その回収試料を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察、定量分析することによって、マントル物質の地球深部条件における融解相関係を決定する。これを行うために、今年度は二つの技術開発を行った。 (1)まず、TEM観察のために、実験回収試料を薄膜化しなければならない。融解実験の回収試料は、試料室中の温度勾配によって、大きな不均質を伴う。この組織解釈を行うためには、一度に試料室全体に渡る観察がなされる必要がある。しかし、これまでの薄膜作成方法では、不可能であった。そこで、薄膜試料作成法の技術開発を行った。薄膜試料作成装置イオンスライサー(日本電子)を研究室に導入し、ダイアモンドアンビルセル実験の回収試料に対して応用することを試みた。これにより、20μm*20μmという、広範囲に渡る薄膜化を迅速かつ簡便に行うことが可能となった。 (2)また、地球深部条件においては、マントル物質の融点は圧力とともに上昇し、核マントル境界では4000K以上にも達する。一方、LHDAC実験では、高圧力下ほど、レーザーによる加熱効率が悪くなるため、高温の発生が困難になる。そこで、本研究では、高圧力下においても、温度の発生効率を高める技術開発を試みた。レーザーの吸収材にレニウムを、ダイアモンドへの熱の放出を妨げるための断熱材にアルゴンを用いた。これにより、加熱効率は大幅に増加し、50GPaにおいては、5000K、さらに、140GPaにおいても4000Kを発生させることに成功した。これまでのマントル物質の融解実験の最高圧力は60GPaにとどまっていたが、本研究で得られた技術を用いれば、核マントル境界相当の圧力においても融解実験が可能になる。 以上、二つの技術開発により、今後、マントル最下部条件までの、マントル物質の融解実験と、それによる融解相関係ができることが期待される。
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Research Products
(2 results)