2007 Fiscal Year Annual Research Report
生分解性ポリエステルの結晶および鎖における酵素分解機構の解明
Project/Area Number |
06J05679
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
沼田 圭司 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 生分解性ポリエステル / 加水分解酵素 / 高分子単結晶 / 分岐型高分子 / 酵素吸着および分解 |
Research Abstract |
本研究では、生分解性ポリエステルの酵素分解速度を制御するための基盤研究として、生分解性ポリエステルの結晶および分子鎖の酵素分解過程を分子レベルで解明することを大きな目的とした。分解酵素が生分解性ポリエステルを分解するときは、吸着ドメインが結晶表面に吸着し、その後に触媒ドメインにより表面のポリエステル分子鎖を加水分解する。申請者は、この酵素が疎水性相互作用に加えて、エステル結合由来の相互作用によってポリエステル結晶表面に吸着すると提案している。そこで本研究では、分解酵素が結晶表面に吸着し加水分解する反応過程を、酵素一分子レベルで直接観察した。液中原子間力顕微鏡および水晶振動子マイクロバランス法を用いることで、酵素の吸着および脱離過程を酵素一分子レベルで定量的に評価することに成功した。この結果から、加水分解酵素が有する基質吸着部位が生分解性ポリエステルの結晶を分解する際に果たす役割をさらに明確にすることに成功した。すなわち、基質吸着部位により酵素の吸着が不可逆的となり、その後の加水分解効率が上昇すると結論した。一方、加水分解酵素の逆反応を利用した酵素重合を用いることで分岐構造を有する新規の生分解性ポリエステルを合成することに成功した。得られたポリマーのセグメント長は熱的性質に大きく影響した。さらに、この生分解性を有する分岐型ポリエステルの酵素分解挙動を詳細に調べた結果、分岐構造や分子鎖末端の数とともに、各分子鎖のセグメント長が分解速度に影響を与えていることをはじめて明らかにした。
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Research Products
(8 results)