2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物におけるOPDAを介した新しい脂質シグナル伝達系の解明と機能解析
Project/Area Number |
06J05709
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 史紀 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | OPDA / チオレドキシン / レドックス制御 |
Research Abstract |
12-オキソフィトジエン酸(12-oxo-phytodienoic acid(OPDA))は葉緑体膜脂質由来のオキシリピンの一種であり、植物ホルモンであるジャスモン酸(jasmonic acid(JA))の生合成中間体でありながらJAとは異なる独自の生理機能を持つことが示されている。今年度、申請者はAMS binding assayによりin vitroでOPDAが葉緑体型チオレドキシン(f型、m型)のシステイン残基に作用してその機能を阻害することを示唆するデータを得た。その阻害能は、JAや他のJA生合成中間体では見られないものであった。また、OPDAと同じα,β不飽和カルボニル結合を持つ化合物について同様の実験を行ったところ、OPDA以外の化合物はf型、m型両方のチオレドキシンに作用するが、OPDAだけはf型チオレドキシンにのみ特異的に作用するという結果が得られた。チオレドキシンは生体内のレドックス状態を制御し、様々な代謝調節やシグナル伝達に関与しているタンパク質である。動物におけるOPDAの構造アナログであるプロスタグランジンJ2ではチオレドキシンと相互作用してシグナル伝達制御に関与していることが既に示されている。このことから申請者はOPDAとチオレドキシンの相互作用がOPDA特異的なシグナル伝達に関与している可能性を考えている。今後はOPDAがin vivoにおいてもチオレドキシンの機能を阻害するかどうかを検証し、その作用機構の詳細やOPDAシグナル伝達との関連について調べていく予定である。
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