2007 Fiscal Year Annual Research Report
植物におけるOPDAを介した新しい脂質シグナル伝達系の解明と機能解析
Project/Area Number |
06J05709
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 史紀 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ジャスモン酸 / OPDA / 植物ホルモン / シグナル伝達 |
Research Abstract |
12-オキソフィトジエン酸(12-oxo-phytodienoic acid(OPDA))は、植物ホルモンであるジャスモン酸(jasmonic acid(JA))の生合成中間体でありながら、JAとは異なる独自の生理機能を持つ。このOPDAが独自のシグナル伝達系を用いてJAとは異なる遺伝子の発現応答を引き起こすことが、当研究室の研究によって初めて証明された。本研究では、この植物におけるOPDA独自の情報伝達経路の解明を目指した。 申請者の研究により、OPDAがin vitroで葉緑体型チオレドキシン(f型、m型)のシステイン残基に作用し、チオレドキシンの再還元を阻害することを示唆するデータを得た。この性質は他のJA生合成中間体では見られないものであり、さらにOPDAの構造類縁体の中でOPDAだけがf型特異的に作用することが分かった。チオレドキシンは生体内のレドックス状態を制御し、様々な代謝調節やシグナル伝達に関与しているタンパク質である。動物におけるOPDAの構造アナログであるプロスタグランジンJ2ではチオレドキシンと相互作用してシグナル伝達制御に関与しでいることが既に示されている。このことから、OPDAによるチオレドキシンの機能阻害がOPDA特異的なシグナル伝達に関与している可能性が考えられる。
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