2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J05715
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村田 有美枝 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 硬骨魚類 / 腹鰭 / ゼブラフィッシュ / ナイルティラピア |
Research Abstract |
四肢動物の後肢(魚類の腹鰭に相当)は総排泄孔脇に形成され、前肢(胸鰭に相当)とほぼ同時に現れる。一方、硬骨魚類の腹鰭は分岐が新しいほどより頭側に位置する傾向があり、胸鰭の発生から数週間後に現れる。本研究は、器官形成の時期や場所を変えながら進化してきた原理について、硬骨魚類を用いた発生生物学的解明を目指している。 ニワトリ胚の後肢とその運動神経が由来する位置は、神経管のHoxc10遺伝子の発現前方境界と一致する。我々は、腹鰭の位置の異なる硬骨魚-ゼブラフィッシュ(Danio rerio、腹位中央部に腹鰭を持つ)とナイルティラピア(Oreochoromis niloticus、胸位に腹鰭を持つ)-を比較し、この対応関係の有無を確認した。抗acetilated-α tublin免疫染色およびレトログレード法による神経標識から、腹鰭運動神経はそれぞれの腹鰭の位置に相応する脊髄神経より投射されることがわかった。ゼブラフィッシュ胚のHoxc10遺伝子の発現前方境界は体節14番目であり、腹鰭の位置は体節の9番目に当たる。つまり、これらの対応関係は、四肢動物と硬骨魚類で異なることが示唆された。 我々のこれまでの研究から、腹鰭芽は将来の腹鰭予定位置に出現することがわかっている。そこで次に、胸鰭の発生時の胸鰭領域外の側板中胚葉における、鰭芽誘導能の有無を確認した。AER誘導因子として知られるFgf10タンパク質浸透ビーズを、胸鰭の誘導が始まる16〜18hpfゼブラフィッシュ胚の側板中胚葉に移植すると、体節4〜9番目の側板中胚葉で鰭芽様組織の形成が確認された。体節9番目は将来の腹鰭予定領域である。つまりニワトリ胚と同様に、ゼブラフィッシュ胚においても、胸鰭と腹鰭に挟まれた脇腹領域の側板中胚葉は鰭芽様組織を形成する能力を保持していることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)