2007 Fiscal Year Annual Research Report
金属内包フラーレンと自己組織化単分子膜を用いた単一分子スイッチ素子の創製
Project/Area Number |
06J05721
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
安武 裕輔 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 分子エレクトロニクス / 走査型トンネル顕微鏡 / 金属内包フラーレン / 自己組織化単分子膜 / ナノギャップ電極 / 単一電子トランジスタ |
Research Abstract |
本研究は、サブナノメータースケールで構造制御が可能なトンネル障壁として自己組織化単分子膜を導入し、金属内包フラーレンと隣接金属電極間の力学的・電気的な相互作用を制御し、金属内包フラーレンの双極子モーメントによる配向スイッチ現象を利用した単一分子スイッチ素子を創製することを目的とする。金属内包フラーレン分子配向スイッチ現象のより高温動作を達成するために、これまで使用してきたテルビウム内包フラーレンから、分子量が大きく、内包金属原子の位置が外殻フラーレンにより接近することでテルビウム内包フラーレンよりも大きい双極子モーメントを有すると予想されるルテチウム内包フラーレンの走査トンネル顕微鏡・トンネル分光測定を行った。鎖長の異なるアルカンチオール自己組織化単分子膜を中間層として、金属内包フラーレンと金属基板間に導入し、金属内包フラーレンに働く相互作用の制御を行い、鎖長の異なるヘキサンチオール、ヘプタンチオール、オクタンチオール上のルテチウム内包フラーレンの観察を行ったところ、65Kにおいてヘキサンチオール・ヘプタンチオール上のルテチウム内包フラーレンは、基板との相互作用により熱による分子の回転が抑制され、その結果ルテチウム内包フラーレンの内部構造が観察されることを見出した。さらにヘプタンチオール上の単一ルテチウム内包フラーレンにおいて、走査トンネル分光測定から、同一分子上におけるコンダクタンスの場所依存性を測定したところ、局所的なコンダクタンスの増加を観察し、内包金属原子の位置とコンダクタンス変化との相関について議論し、分子配向スイッチのメカニズムについて検討した。 次に、固体基板上での分子配向スイッチ素子の創製に向け、電子線露光と無電解メッキ法によるナノギャップ電極作製を行い、41%の歩留まりで5nm以下のナノギャップ電極を安定して作製できる手法を構築した。さらに作製したナノギャップ電極とアルカンチオール保護金ナノ粒子を組み合わせることで80Kにおいて単一電子トランジスタ特性を実証した。
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Research Products
(11 results)