2006 Fiscal Year Annual Research Report
2-デオキシストレプタミン生合成に関わる特異酵素群の基質認識機構及び反応機構解析
Project/Area Number |
06J05731
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
横山 健一 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アミノ配糖体抗生物質 / ブチロシン / 生合成 / ラジカル / 酸化反応 |
Research Abstract |
本年度はアミノ配糖体抗生物質ブチロシヒの2-デオキシストレプタミン部位生合成において唯一未解明であった2-デオキシ-scyllo-イノサミン(DOIA)酸化反応について研究を進め、触媒する酵素とその反応機構を解明した。これまでに、ラジカルSAM(S-アデノシルメチオニン)酵素と相同性を示すBtrNを大腸菌にて発現させた場合、その無細胞抽出液がDOIA酸化活性を有することを見出していた。しかし、精製酵素を用いた場合は嫌気的に精製を行っても、目的の酸化酵素活性は検出できていなかった。本年度の研究では嫌気条件下精製したBtrNの鉄硫黄クラスターを硫化ナトリウムと二価鉄を用いて再構築することで、十分な活性を有するBtrNの調製に成功し、BtrNが単独で本酸化反応を触媒していることを明らかにした。さらに、酸化反応の進行に伴い、1当量のSAMが消費され、5'-デオキシアデノシン(5'-dA)とメチオニンが生成することを明らかにした。また、酵素反応速度論解析から2-デオキシ-scyllo-イノサミンが反競合的な基質阻害を示すことを見出した。この結果は本酵素反応が定序逐次Bi-Ter機構で進行することを示唆するものである。また、同位体標識したDOIAを用いて酵素反応を行ったところ、生成した5'-dAはその5'-メチル基が全て軽水素化されたもの、一つ重水素化されたものおよび二つ重水素化されたものが確認できた。重水中での反応では5'-dAへの重水素の取り込みが見られなかったことと合わせると、本反応ではSAMの還元的解裂によって生じた5'-デオキシアデノシルラジカルがDOIAの3位水素原子を直接、可逆的に引き抜いているものと考えられる。以上より本反応が酵素反応としては極めて珍しいラジカル機構でのアルコール酸化反応であることを明らかにすることができた。
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