2006 Fiscal Year Annual Research Report
アシル-ロジウム錯体の反応挙動の解明及びそれを鍵中間体とする新規触媒反応の開拓
Project/Area Number |
06J05770
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
柏原 泰吾 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ロジウム / パラジウム / アシル錯体 / 脱カルボニル化 |
Research Abstract |
PhCOCOClをロジウム錯体に対して酸化的付加させる手法でα-ケトアシルロジウム錯体PhCOCO-Rhを合成した。本錯体は溶液状態で60℃程度まで安定であるものの、一つ目のカルボニル基が放出されPhCO-Rh錯体となるともはや電子吸引性置換基を有さないため更なる脱カルボニル化が進行した。類似のα-ケトアシルパラジウム錯体では極めて容易に脱カルボニル化が進行する報告があるため、この対比は興味深いものである。また、この錯体種を鍵中間体として、末端アルキンへのダブルカルボニル保持付加反応への展開を試みた。種々のRh錯体や配位子等の検討、あるいは一酸化炭素雰囲気下での反応を試みたが、残念なことに脱カルボニル化が進行し、ダブルカルボニル保持生成物を痕跡量しか得ることができなかった。 一方、類似の観点から、クロロアセチルクロリドの各種末端アルキンへの付加反応についても検討したところ、カルボニル保持生成物である1,4-ジクロロ-3-ブテン-2-オン誘導体が良好な収率で得られた。反応生成物は分子内の2つの塩素原子をそれぞれ独立して官能基変換することが可能であることが知られているため、合成中間体として有用である。 パラジウムとの対比をより明確にするため、パラジウム錯体触媒を用いた酸塩化物とジシランの反応を検討した。その結果、C_6F_5COClとSi_2Me_6との反応では脱カルボニル化を伴ったC_6F_5SiMe_3がほぼ定量的に得られた。つまり脱カルボニル化が電子吸引性置換基によって促進され、アシルロジウムからのそれと傾向が逆転した。同様にスルホニルパラジウム錯体からの脱スルホニル化もアシルパラジウムからの脱カルボニル化と同じ傾向を示した。 得られた結果は今後合成反応を設計する際非常に重要な知見となるものと期待する。
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Research Products
(2 results)