2007 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧空気を酸化剤に用いたアルカンの選択部分酸化触媒系の開発
Project/Area Number |
06J05782
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 広和 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バナジウム / 酸素 / アルケン / コバルト / アルカン / アダマンタン / 部分酸化反応 |
Research Abstract |
グリーンサスティナブルケミストリーの観点から、温和な条件下、酸素を酸化剤に用いて炭化水素をアルコールなどの有用な含酸素化合物に転換可能な触媒系を開発することは極めて意義深い。 まずアルカンの部分酸化反応を検討した。酸化剤として、持続可能かつ最もグリーンな酸化剤である1気圧の空気(P(O_2)=0.21atm)を用いて部分酸化反応を行うことができれば理想的である。そこで、酢酸-n-ブチル溶媒中、反応温度120℃で1気圧の空気を吹き込み、触媒にシリカ担持酸化コバルトを用いてアダマンタン(1.89M)の部分酸化反応を行った。反応開始6時間の後、アダマンタン酸化生成物合計の収率57%、コバルト当たりのターンオーバー数TON(Co)=8190と特筆すべき反応成績を得た。また、触媒の再利用を検討した。アダマンタン酸化反応終了後、触媒を濾過回収し、再び酸化反応に供したところ、未使用の触媒と同等の酸化活性を示した。少なくとも5回の使用まで酸化活性の低下無く、再利用できることが分かった。また酸化反応中に溶出したコバルトを定量したところ、溶出量は約0.2%と低く抑えられたことが分かった。 次に、酸素によるアルケンの部分酸化反応を検討した。酢酸溶媒中、既にアルカン酸化に有効であることを見出しているVO(acac)_2触媒を用いて、1気圧の酸素を吹き込み反応温度92℃にてシクロオクテンの部分酸化反応を10時間行った。エポキシドの収率21%、TON(V)=627と良好な結果が得られた。また、シクロヘキセンの部分酸化反応は室温(25℃)下、空気中で進行し、反応時間6時間の時、TON(V)=111であった。
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Research Products
(3 results)