2008 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧空気を酸化剤に用いたアルカンの選択部分酸化触媒系の開発
Project/Area Number |
06J05782
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 広和 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バナジウム / 酸素 / アルカン / 立体特異的酸化 / 部分酸化 / パーオキサイド |
Research Abstract |
酢酸溶媒中、O_2を酸化剤に用いて、反応温度365KでVO(acac)_2触媒によるデカリンの酸化反応を実施した。まず、cis-デカリン酸化を行ったところ、3°酸化物であるcis-9-デカロール、trans-9-デカロール、2°酸化物のアルコール、ケトンそCO_2が生成した。cis-9-デカロールとtrans-9デカロールの比(cis:trans)は83:17であり、立体化学を保持したcis-9-デカロールが選択的に生成した。V触媒はデカリンの3°C-H結合を立体特異的に水酸化できることが明らかとなった。バナジウム配位子を種々検討したところ、酒石酸配位子が有効であり、300Kでcis-デカリンの部分酸化を実確したところ9-デカロールのcis:trans比は94:6となり、かなり立体化学が保持された。 V活性種について知見を得るため、酸化剤にH_2O_2および^tBuOOHを用いて反応性を検討した。cis-、trans-デカリン酸化における立体化学保持率ならびにシクロヘキサン/シクロヘキサン-d_<12>競争酸化反応における速度論的同位体効果の比較から、O_2を酸化剤に用いたV触媒系ではV^V(O_2)種が酸化活性種として作用していることが強く示唆された。これらの結果から、V^V(O_2)種がアルカンを水酸化して、アルコールとV^V(O)種を生成し、V^V(O)種がO_2と反応してV^V(O_2)種が再生する反応機構を提案した。
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Research Products
(5 results)