2006 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧空気を酸化剤に用いたアルカンの選択部分酸化触媒系の開発
Project/Area Number |
06J05782
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 広和 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バナジウム / 酸素 / アルカン / アダマンタン / 部分酸化反応 / トリフルオロメタンスルホン酸 |
Research Abstract |
酸素によるアルカンの部分酸化反応に、酢酸溶媒中VO(acac)_2触媒が高い活性を示すをことを見出している。1気圧の酸素を吹き込みアダマンタン(0.47M)の部分酸化反応を行ったところ、反応温度120℃では反応時間6時間において部分酸化生成物合計の収率35%、TON(V)=380であった。そこでより効率的な触媒系の開発を目指し検討を行った。 反応温度120℃の時、溶媒の酢酸に対するアダマンタンの溶解度は約0.5Mと低かった。また120℃はこの溶液の沸点であり、溶存酸素濃度は低いと考えられる。そこで、アダマンタン溶解度、溶存酸素濃度の増加を期待して溶媒にプロピオン酸を用いて酸化反応を行った。アダマンタン濃度1.59M、反応温度120℃の条件で6時間反応したところ部分酸化生成物合計の収率65%、TON(V)=3000と良好な結果を得た。 次に触媒活性の向上を目的に各種添加物を検討した。酢酸溶媒中2.2mMのトリフルオロメタンスルホン酸(HOTf)の添加によりアダマンタン酸化生成物生成速度が6.5倍に増加することを見出した。プロピオン酸溶媒中でも同様に促進効果が観測された。HOTfは単独では機能しないことからバナジウム触媒を高活性化させていると考えられる。 酸素分圧0.2気圧でも高い酸化活性が得られれば、空気をそのまま酸化剤に用いることができる。このような理由からプロピオン酸溶媒中1気圧の空気を吹き込み反応温度100℃でアダマンタン(0.47M)の部分酸化反応を6時間行った。しかし酸化生成物合計の収率は17%と低かった。そこで酸素分子の活性化を期待して各種添加物を検討した結果、シクロヘキサノン470mMを添加した条件ではアダマンタン酸化生成物生成速度は3倍以上に向上し、反応時間6時間での収率は53%と、特筆すべき反応成績を得ることができた。
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Research Products
(1 results)