2008 Fiscal Year Annual Research Report
透明酸化物半導体の固有の特性を利用したデバイスの探索と実現
Project/Area Number |
06J05828
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松崎 功佑 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | p型酸化物半導体 / 薄膜トランジスタ / 酸化銅(I) |
Research Abstract |
酸化物半導体の多くはn型であり、p型伝導する材料は少ないため、p型酸化物半導体を薄膜トランジスタ(TFT)に応用した報告はほとんどなかった。本研究ではp型酸化物半導体で最も移動度の高いCu_2OをTFTに応用可能な高品質薄膜を作製し、高移動度TFTを実現することを目的とした。Cu_2O薄膜は、化学量論比やCuの価数が作製条件により容易に変わり、その特性も成長基板の表面状態により大きく影響される。この問題に対して、成長基板および成長温度や酸素分圧などの製膜条件を詳細に検討した結果、成長基板には格子ミスマッチの小さいMgO(110)単結晶基板上に、Cu_2O単相のエピタキシャル薄膜を作製でき、さらに薄膜成長温度を700℃、酸素分圧を0.5〜0.65Paという狭い製膜条件において、バルク単結晶並の正孔移動度90cm^2V^<-1>s^<-1>を有する高品質な薄膜が得られることがわかった。また、キャリア密度が〜10^<14>cm^<-3>と低く、二乗平均表面粗さが〜1nmと平坦なCu_2O薄膜を活性層とし、アモルファスAl_2O_3をトップゲートにしたMISTFT構造を作製したところ、のpチャネルTFTとして動作することがわかり、Cu_2Oを電界効果により電流を変調させることに成功した。しかしながらその電界効果移動度〜0.25cm^2V^<-1>s^<-1>はHall移動度60〜80cm^2V^<-1>s^<-1>と比較して2〜3桁低いことがわかった。化学両論比を制御するために酸素分圧を変えた時の光吸収によるサブギャップ準位の変化について調べた。その結果、ギャップ内に>>10^<18>cm^<-3>の状態密度が観測され、TFTのトラップ準位密度10^<18>〜10^<19>cm^<-3>とよく一致することから、Cu_2O内に存在するサブギャップ準位が電界効果移動度を劣化させている主因と推察した。
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Research Products
(4 results)