2006 Fiscal Year Annual Research Report
河川連続体と不連続結合の概念に基づいた貯水池の環境影響評価
Project/Area Number |
06J05843
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
程木 義邦 島根大学, 汽水域研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 貯水池 / 環境影響評価 / 河川連続体 / 河川不連続結合 |
Research Abstract |
初年度となる平成18年度は、研究対象となる貯水池の環境影響を明らかとすべき対象地域の選定とともに、分析体制の確立や既存データ(おもに公共用水域調査結果、河川流量年表)などのまとめを行った。 現地調査については、計画当初から主な対象水系として考えていた斐伊川および宍道湖では、すでに水質や湖沼沿岸域の生産速度に関する定期調査を開始している。また、天塩川水系でも最上流部にある岩尾内ダム湖およびその上下流の20地点において定期に水質調査を行った。現在までに1)融雪期の濁水貯留による河川下流域の濁度の増加と長期化、2)融雪水の希釈放流に起因する夏季の水温低下、3)貯水池表層における植物プランクトンの発生にともなう下流河川栄養塩類濃度の不連続的変化、などが確認された。また、このような河川環境の改変に伴い下流河川の底生生物相の変化が生じ、流下藻類を餌資源とするろ過食者や乾燥抵抗性の高い生物が優占することも明らかとなった。 一方、調査対象水系としている斐伊川では、既存のダムのほとんどが発電用のダムであるため、ハイドロピーキング操作(発電のため、数時間〜数日の間に放流・放流停止を繰り返す捜査)や暗渠による支流(または本流)への分流など、人為的な流量操作が大きく、既存の水質調査結果や流量データから、水系全体でのダムによる水質の不連続結合の影響を読み取ることが困難なことも示唆された。この点については、分流を行っていないダムだけを対象とし、流入・放流水の水質を現地調査により定期的に評価することにより、各ダムによってもたらされる不連続結合を個別に評価する。また、河川下流域の河川構築物による水質不連続性の評価として太田川(広島県)を、大規模な河川構築物の無い河川(対照区)として高津川(島根県)なども対象として既存データの収集と現地調査を行っており、来年度も継続する予定である。
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