2007 Fiscal Year Annual Research Report
フランス近現代思想における身体論(科学・芸術・政治との関連から見たその展開)
Project/Area Number |
06J05877
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
藤田 尚志 Hosei University, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 身体論 / フランス哲学・思想 / 生気論 / 目的論 / 技術論 / 比喩 / リズム論 / 物質性 |
Research Abstract |
本年度は、フランス近現代思想における身体論の一つの隠れた水脈としてのベルクソン哲学を、20世紀のさまざまな思想潮流における身体論と比較することを目標として、共著を一つ、論文を5つ執筆し、発表を5つ行なった。 まず、全体の見取り図となるのは、12月にアメリカの思想雑誌に掲載された論文「Bergson's Hand: Toward a History of(Non)-Organic Vitalism」である。ここで、ベルクソンの身体論がそこに棹差す(非)有機的な生気論の伝統を簡略ながら指摘することができた。次に各論に移る。本研究を構成する三つの柱である科学・芸術・政治的観点によって本年の業績を分類しつつ記す。 1.科学的観点。ベルクソンの生気論的な身体論は、一方で伝統的な目的論と、他方で現代の技術論と密接な関係を取り結んでいる。前者については4月にフランス・トゥールーズで行われたシンポジウムで発表、8月に日本の思想雑誌に論文の形で掲載された。後者については10月に日本で行われたシンポジウムで発表、今年出る予定の日本の書籍に掲載予定である。前者ではカンギレム、後者ではリュイエとの関係をごく簡単ながら指摘することができた。 2.芸術的観点。ベルクソンの生気論的な身体の哲学は、一方で独自の言語観・隠喩理論を、他方で独自のリズム論ないし数論をもつ。前者については5月に日本で行われた学会で発表、2008年3月に学会誌に掲載された。後者については12月にブラジルで行われたセミナーで発表された。前者ではメルロ=ポンテイ、後者ではバシュラールとの関係をごく簡単ながら指摘しえた。 3.政治的観点。ベルクソンの生気論的な身体論は、独自の記憶理論と物質理論を持つ。前者については11月にフランスで行われたシンポジウムで発表、今年出る予定のフランスの書籍に掲載予定である。後者については2008年6月にブラジルで行われるシンポジウムで発表予定である。 次年度は、いよいよ最終年度となる。フランス近現代思想における身体論を《フランスにおける結婚の形而上学とその脱構築》という形で展開してみたいと考えている。成果をフランスの出版社から出版することを検討している。
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Research Products
(12 results)