2006 Fiscal Year Annual Research Report
確率微分方程式を用いた宇宙線の太陽変調および銀河変調の研究
Project/Area Number |
06J05903
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
三宅 晶子 茨城大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 宇宙線 / 惑星間空間磁場 / 太陽風 / スターバースト銀河 / 電波ハロー |
Research Abstract |
太陽変調および銀河変調の両テーマで進展がみられた。 ・太陽変調の研究 本年度は、過去50年間の観測結果に基づいて周期変動する磁気中性面モデルを想定し、宇宙線陽子・反陽子のエネルギースペクトルや22年周期変動をシミュレーション実験した。この改良を行うことで太陽変調現象に対する定量的な議論が可能になったが、シミュレーション結果はBESS実験の観測結果をうまく再現することができなかった。その要因のひとつとして太陽風の非等方性が考えられ、現在それをモデル導入したシミュレーション実験を行っている。 ・銀河変調の研究 スターバースト銀河NGC253では銀河ディスクを超えて広がるX線ハローや電波ハローが検出されており、これらは銀河風や銀河ディスクから染み出した宇宙線電子を起因とすると考えられている。本研究では、銀河風の存在を想定したNGC253モデルを設定して宇宙線伝播をシミュレーション実験し、観測と比較することで電波ハローと銀河風および宇宙線との関連を調べた。まず電波ハローのもととなる宇宙線電子ハローの構造を調べた結果、その広がりにはエネルギー依存性があること、銀河風が存在するためにhollow structureが形成されることが分かった。Hollow structureは電波ハローの計算結果および観測結果からも検出されており、我々はそれが銀河風の存在を示すものであるかもしれないことを指摘した。またハローの広がりに関する議論からは、NGC253における宇宙線閉じ込め時間は約10^6年であることが見積もられた。この値はこれまで推定されていた典型的なスターバースト銀河における値に近い。このほか各領域における宇宙線電子のエネルギースペクトルに関しても議論し、スペクトルの絶対値やベンズポイントの特徴をFIRやSNR、磁場強度と関連づけて説明した。
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