2007 Fiscal Year Annual Research Report
確率微分方程式を用いた宇宙線の太陽変調および銀河変調の研究
Project/Area Number |
06J05903
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
三宅 晶子 Ibaraki University, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 宇宙線 / 太陽圏 / 銀河風 |
Research Abstract |
(1)太陽変調の研究:太陽風速度の緯度依存性や太陽光球面における磁力線の差動回転を起因とする惑星間空間磁場の乱れ(Fisk field)をシミュレーションモデルに組み込み、それらが銀河宇宙線の太陽変調にどう影響するのかを議論した。太陽風速度に緯度依存性がある場合、その勾配に応じて磁場強度は変動する。その影響を受けて宇宙線強度がどう変化するか、またその根本的要因について議論することができた。惑星間空間磁場モデルにFisk fieldを導入した計算では、これまで予想されていたFisk fieldが太陽変調に与える影響と矛盾しない結果を得た。またこの磁場モデルで1997年に観測された宇宙線陽子・反陽子のエネルギースペクトルを計算したところ、観測結果を再現することに成功した。この他宇宙線の軌跡やエネルギー損失量等の詳細に関しても調べた。 (2)銀河変調の研究:計画を変更し、昨年度遂行したスターバースト銀河NGC253の電波ハローに関する研究を進展させた(銀河風および磁場構造モデルに改良を加えた)。現在まだ計算中であるが、これをもとに観測(電波ハロー)をより再現する銀河風・磁場構造を探り、さらにはGLASTでの検出が期待されるγ線ハローについても調査したい。この他、銀河宇宙線の年齢に関する研究も開始している。ベリリウムの同位体元素の測定から、宇宙線の平均年齢は10^7年と言われているが、その詳細についてはよく分かっていない。我々が研究に用いている計算手法は宇宙線を時間に対して逆向きに追うことができ、宇宙線源から地球にたどり着くまでの時間を計算することができる。この利点を用いて現在宇宙線の年齢やソース分布に関する計算を行っており、面白い結果が期待される。
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