2006 Fiscal Year Annual Research Report
コンピュータ・シミュレーションと画像処理を利用した非対称分裂機構の解析
Project/Area Number |
06J05967
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
木村 暁 独立行政法人理化学研究所, 新分野創造センター, 助教授
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Keywords | コンピュータ・シミュレーション / 画像処理 / 線虫 / 非対称分裂 / 中心体 |
Research Abstract |
細胞分裂の際の細胞分裂面の位置は中心体の位置に依存して決まる。非対称分裂によって大小異なる大きさの細胞が生まれる際には、中心体が細胞の中心付近からずれた位置に移動することが重要である。中心体にかかる力が空間的・時間的にどのように制御されることによって、細胞内での中心体の動的な配置が調節されるかについては不明な点が多い。本研究課題では非対称分裂の主要なモデル系である線虫C.elegansの初期胚を用いてこの問題の解析を行った。 報告者らはこれまでに画像処理を利用して中心体の位置を経時的に、客観的に測定することにより、中心体にかかる力の空間分布の経時的変化を見積もる方法を確立していた。この方法を用いて、実体顕微鏡観察下で選別した線虫初期胚を電動顕微鏡を用いて一定間隔で撮影した顕微鏡像を解析することにより、線虫初期胚における非対称分裂の際に中心体にかかる力を見積もった。このようにして得たデータを解析することにより、中心体の動的な細胞内配置を説明づける新しいモデルを構築した。モデルの妥当性を検討するために、種々の遺伝子の機能阻害実験をdsRNAを線虫に注入する手法を用いて行つた。さらに、コンピュータ・シミュレーションを利用して、このモデルの妥当性や他の可能性について検討を加えた。これらの解析に基づいて、中心体の配置を通した非対称分裂機構の解析に関する新たなモデルを提唱した。得られた成果について、国際学会で発表を行い議論を重ね、論文の執筆・投稿を行った。当該論文は未だ受理されるには至っていないため、この点については研究期間終了後も引き続き取り組んでいる。
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Research Products
(1 results)