2006 Fiscal Year Annual Research Report
プログラムの不具合の原因の特定と修正の支援方法に関する研究
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06J05972
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
孝壽 俊彦 慶應義塾大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | プログラム実行制御・監視環境 / Director / デバッガ / 仮想マシン / Dynamic Translation / Instrumentation |
Research Abstract |
本年度では、まず前年度に構築したマルチスレッドに対応したプログラム実行制御・監視環境のプロトタイプシステムが持つ問題点の整理を行い、それぞれの問題点の具体的な解決方法について研究を行っていった。例えばプログラム実行制御・監視環境において、マルチスレッドに対応したdirectorの構築の支援を行うためには、スレッドごとに監視内容を変更できるような、柔軟な監視機構が必要となることが判明した。これは、プロトタイプシステムの拡張を行い、仮想マシンがスレッドごとに異なるdynamic translationを行えるようにすることで解決できた。これらの研究成果に関しては、2006年並列/分散/協調処理に関する『高知』サマー・ワークショップで口頭発表を行い、本環境についての意見なども求めるとともに、情報処理学会論文誌「プログラミング」上でも発表を行った。 そして本年度の後半からは、本環境を用いて、デバッギングに利用できる様々な先進的な機能を、「単一のデバッガ」に対して組み込む実験に取り組んでいる。本デバッガに組み込まれている機能としては、動的スライシング、ヒープチェッキング、データレースチェッキング、可逆実行が挙げられる。本環境を用いてこのようなデバッガを構築する利点としては、デバッガのユーザが、これらの機能を柔軟に組み合わせながら利用することが可能となることが挙げられる。実際、実験で構築したデバッガでも、そのような利点を確認することができた。しかし同様に、実験ではいくつかの問題点も露呈した。特に、組み込んだ複数の機能をそれぞれ完全に独立させることが難しく、機能によっては、他の機能と競合が発生する場合もあるという問題点があった。そこで来年度では、可能な限りこれらの問題点に対処するための研究も行いつつ、本研究全体の成果を取りまとめていく予定である。
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Research Products
(1 results)