2006 Fiscal Year Annual Research Report
複合構造ナノリングにおけるスピン依存量子干渉効果の研究
Project/Area Number |
06J06011
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
関口 康爾 慶應義塾大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 量子干渉効果 / ナノ磁性 / 巨大磁気抵抗効果 / 人工多層膜 |
Research Abstract |
量子干渉効果に及ぼす磁気散乱(電子スピン散乱)の影響に関して知見を得るため、複合構造ナノリング(三層構造Ni_<81>Fe_<19>/Cu/Ni_<81>Fe_<19>)における量子効果(Aharonov-Bohm効果)を研究した。本年度計画した研究一段階として、Cu単層ナノリングにおけるAharonov-Bohm効果を検出し、量子干渉効果を観測するために必要なリング半径が250nm程度であることを決定した。これにより複合構造ナノリングの半径を250nmに設定し、複合構造ナノリングにおける磁化反転過程を検出することができた。またGMR効果によって磁化反転過程を詳細に推定できることを示した。第二段階として複合構造ナノリングにおけるAharonov-Bohm効果を測定し、複合構造系における量子効果を初めて観測することに成功した。以上の結果は本系が磁化状態を制御した量子干渉計として有望であることを示す。研究実績の概要は以下の通りである。 1.^3He-^4He希釈冷凍機を用いた150mK低温下で、Cu単層ナノリングにおけるAharonov-Bohm効果を検出した。Aharonov-Bohm振幅によりCu層における位相相関長が1.5um程度と評価でき、複合構造ナノリングの最適半径を250nmに決定した。 2.複合構造ナノリングの磁気抵抗効果を測定する際、電流端子、電圧端子までGMR構造にすることで試料の劣化を防げることがわかった。磁化反転過程はシミュレーション(マイクロマグネティクス)と一致し、複合構造ナノリングの磁性層の磁化過程を推定することに成功した。 3.GMR構造リングにおける量子効果(AB効果)を極低温下で測定し、複合構造系において量子効果が存在することを発見した。
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Research Products
(2 results)