2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J06017
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田口 実 慶應義塾大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 分子磁性体 / 光伝導性半導体 / 微粒子 / 逆ミセル法 / 光誘起電子移動 |
Research Abstract |
物質のもつ様々な機能を光で制御できる新しい物質や技術を開発する研究が盛んに行われている。特に磁気特性を光制御できる材料は、情報記録といった観点より非常に注目されている。本研究では、新規な手法による光制御型磁性材料の創製を目的として、光伝導性半導体と磁性体との複合を試みた。具体例として、光伝導性半導体であるCdS及び磁性体であるプルシアンブルー(PB)をそれぞれ逆ミセル法によって微粒子化し、その微粒子同士を混合することで新規光制御型磁性材料を作製した(J.Am.Chem.Soc. 128,10978-10982(2006).)。 TEMより、それぞれの超格子が確認され、系内にCdS及びPBが存在していることが確認できた。この複合材料の磁気特性を評価したところ、磁気転移温度は約4K、2Kにおいてヒステリシスが観測された。この複合材料の光照射に伴う磁化の変化を2K、1mTで測定した結果、磁化は紫外光により減少し、2Kにいて、ヒステリシスは消失した。紫外光照射に伴う磁気特性の変化は、熱処理によって回復することが確認された。すなわち、紫外光照射による磁化のON/OFF制御に成功した。 この光磁化変化を考察するために、紫外光照射前後におけるPB微粒子の電荷移動吸収帯(IVCTバンド(Fe^<II>-CN-Fe^<III>))、鉄原子間のCN伸縮振動、鉄原子の電荷状態をUV-vis吸収、IR、メスバウアー分光法においてそれぞれモニターしたところ、紫外光照射に伴いIVCTバンドの吸光度の減少、CN伸縮振動の低波数側へのシフトが観測された。さらにメスバウアー分光法では、鉄原子の電子状態が紫外光照射前後でFe^<III>からFe^<II>へ変化していることが観測された。以上の結果より、紫外光照射によりCdS微粒子の励起電子がPB微粒子へ移動することでPB微粒子が還元され、電荷状態が変化(Fe^<II>-CN-Fe^<III>からFe^<II>-CN-Fe^<II>)し、磁化が変化したと考えられる。また、紫外光照射を停止し、熱処理を施すとそれぞれ紫外光照射前の値まで回復した。
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Research Products
(1 results)