Research Abstract |
本研究では,機能性流体として,磁場に応答する磁性流体とMR流体(以後両者をまとめてMAG流体と記す)を取り上げた。両流体の大きな違いは内部粒子の大きさに有り,磁性流体(内部粒子径:10nm程度)では印加磁場によってその流動特性が大きく変化するし,MR流体(内部粒子径:数μm)では磁場に敏感に応答して流動性が消失する。この特性を生かして,様々な機器への応用が提案されている。MAG流体に磁場を印加すると,内部の強磁性微粒子が凝集し,クラスターを形成する。この内部構造変化の解析がMAG流体の工学的応用において重要である。 磁性流体中の超音波伝播では,磁場印加による伝播速度,減衰率変化を計測した。その結果,伝播速度や減衰率変化に,異方性,ヒステリシスなどの伝播特性が得られた。これは鎖状クラスターの形成といった内部構造変化が大きく関係していると考えられる。また,MR流体中の伝播速度変化は磁性流体に比較し非常に大きく,よりダイナミックなものであった。これにより,印加磁場に対する応答性は非常に高く,クラスターの形状,成長過程も磁性流体とは大きく異なる事がわかった。このように,流体,磁場印加条件を様々に変化させ実験することで,MAG流体中の超音波伝播特性の基礎データが多く得られ,この結果を基に,磁場印加による内部構造変化が定性的に明らかになった。 この応用として,超音波によるMAG流体の内部構造非接触解析(上記の通り),MAG流体の流動場の超音波計測を行った。流動計測では,磁性流体では管内振動流を超音波速度分布法(UVP)により計測し,流動場に与えるクラスターの影響が明らかとなった。また,MR流体では,チャンネル流における超音波による流動構造解析を行った。MR流体中のクラスターがバルブとして機能し,流動遮断時と流動時の内部構造変化が超音波により解析出来た。
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