2008 Fiscal Year Annual Research Report
成体脳室下層における細胞極性・形態・運動制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
06J06038
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山田 理 Keio University, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 脊髄損傷 / 炎症細胞 / GM-CSF |
Research Abstract |
本年度は細胞極性・形態・運動制御のメカニズム解明の一環として、炎症細胞に着目して脊髄損傷におけるGM-CSFの治療効果とそのメカニズムを明らかすることを目的として以下の研究を行った。1.脊髄損傷後のGM-SCFとGM-CSFRの経時的発現変化:GM-CSFの発現は損傷後12時間で、一方GM-CSFRは7日目でピークに達した。またGM-CSFRは炎症細胞に局在が認められた。この結果から損傷脊髄後の両者の発現には時間差があり、内在性のGM-CSFの発現では効果が十分発揮出来ない事が考察される。2.GM-CSFの炎症細胞への影響:1から投与期間を損傷後24時間目から10日間の連日投与とした。炎症細胞のiNOSとArginaselの発現を検討したところiNOSは両群で差は認められず、ArginaselはGM-CSF投与群で有意な増加が認められた。この結果からGM-CSF投与によりArginasel/iNOSが大きくArginasel側にシフトした事が明らかとなり、炎症細胞内でのNO産生低下が推測された。次に炎症細胞でのNO陽性細胞数を測定したところGM-CSF投与群では有意なNO陽性細胞数の低下が認められた。さらに損傷脊髄のタンパク酸化レベルを検討した結果、GM-CSF投与群で酸化レベルの有意な低下が認められた。3.損傷慢性期の組織学的検討:神経線維に対するGM-CSFの影響を髄鞘染色および免疫染色で検討したところ、GM-CSF投与群では髄鞘、神経線維が有意に保たれている事が明らかとなった。4.下肢運動機能評価:BBB scoreを用いて損傷6週まで経時的に下肢運動機能評価を行ったところ、GM-CSF投与群では損傷後7日から有意に良好な回復を認められた。
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Research Products
(2 results)