2006 Fiscal Year Annual Research Report
中国明清期裁判文書から見た庶民一家族、ジェンダー、ことば
Project/Area Number |
06J06044
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
五味 知子 慶應義塾大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 中国 / 裁判文書 / 家族 |
Research Abstract |
本研究課題は明清時代の中国における庶民の家族観、およびジェンダーについて、裁判史料を使って明らかにすることを目的とする。上記の目的に沿って、本年度は1、清中期裁判史料中の加害者女性像、2、明末から清代にかけての「貞節観」の変化という二つのテーマに取り組んだ。1については、修士論文を基礎とし、6月に三田史学会大会(慶應義塾大学)において口頭報告をした。さらに、8・9月にかけて台湾、上海、安徽に赴き、史料収集および調査を行った。その結果、加害者女性は家族の不和や実家・婚家の対立・経済的困難を背景に事件を起こしても、「姦」という枠組みによって括られる傾向があることを見出した。2については、東京大学東洋文化研究所、東洋文庫、京都大学人文科学研究所、一橋大学、明治大学等の国内研究機関において史料収集を行った。現在、史料分析を進めている途中であるが、明末以降、「貞節」が庶民層にまで広まり、婚約者に対する殉死のような過剰なまでの貞節行為が発生する一方、「貞節」に纏わる問題を現実の利害と絡めて利用しようとする人々が現れたと考えている。この問題を明らかにするため、次年度は婚家・実家の間で発生した「姦通誣告」事件に注目し、成果を報告する予定である。また、明清女性史を考える上でひとつの重要な鍵となる「纏足」について、女性文化という新たな視点でこれを分析するドロシー・コウ氏の『纏足の靴-小さな足の文化史』の書評を執筆した。
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Research Products
(1 results)