2007 Fiscal Year Annual Research Report
上代文学と芸能とにみる日本人の心性の探求と、催馬楽および古代歌謡の研究
Project/Area Number |
06J06046
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森 陽香 Keio University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 日本文学 / 上代文学 / 神話 / 歌謡 / 催馬楽 / 民俗学 / 古代文学 |
Research Abstract |
本研究は日本人の心性の探求を目的とし「古代日本人の信仰」と「催馬楽研究」の二つの課題を設ける。 前者の研究課題に対しては、『播磨国風土記』の考察を行った。本風土記は、民俗的で素朴な要素を多く含み本研究の目的に適う書であるが、研究の蓄積が浅い。また伝本としては「三条西家本」が唯一伝わるのみで、しかもその「三条西家本」には誤字脱字や記載の不備などが散見され、難読箇所も多い。このため近年の主たる諸注釈書は、かなり多くの校訂を施した本文を掲出した上で『播磨国風土記』を理解しようと努めてきた。そこで、唯一の伝本を尊重しながら『播磨国風土記』研究の基礎を固め直してゆく必要を感じ、「『播磨国風土記』の校訂を考える-揖保郡林田里条を中心に-」(「古事記年報」50号)を著した。本論は従来難読所とされ文字の校訂などが施されてきた「林田里」条について、三条西家本のままでも十分に訓読し得ることを検証し、内容の理解と訓読方法とに新たな可能性を提示したものである。 一方「催馬楽」は、ハレからケまで多岐に渡る人間性を多面的に描く古代歌謡であるが、研究の余地が多く残されているので、従来の催馬楽研究の水準と課題とを示すとともに未来の研究の基礎作りを固めることを目標としている。今年度は、従来知られてこなかったが研究上価値があると認められる催馬楽注釈書二点と催馬楽論一点(いずれも江戸期の著作)を見出して翻刻作業を終えるとともに、催馬楽注釈史の概略をまとめた論をなした。これは2008年度中に笠間書院から出版予定の、藤原茂樹編『催馬楽の研究』に収められる予定である。
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Research Products
(2 results)