2008 Fiscal Year Annual Research Report
上代文学と芸能とにみる日本人の心性の探求と、催馬楽および古代歌謡の研究
Project/Area Number |
06J06046
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森 陽香 Keio University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 日本文学 / 上代文学 / 神話 / 歌謡 / 催馬楽 / 民俗学 / 古代文学 |
Research Abstract |
本研究は「日本人の心性の探求」を目的とし「古代日本人の信仰」と「催馬楽研究」との、二つの課題を設けている。 「古代日本人の信仰」については、従来「海」の信仰に焦点を絞った研究を行ってきたが、今年度は「山」の信仰へと視点を移し、『古事記』等に見られる山の神の代表である「おほやまつみ」を取り上げて研究を行った。その成果が、上代文学会の例会において口頭発表した「おほやまつみ考」である。これは『古事記』『日本書紀』に見られるおほやまつみと他の山神との違い、おほやまつみの性別、おほやまつみの性能、という三点を考察の軸としてこの神の資質を具体的に明らかにすることに努めたもので、従来文学と民俗学とのはざまにあってそのどちらの側からも考察の余地が残されていたこれらの課題に取り組んだことは意義深い。一方「催馬楽」については、過去に発掘・翻刻を行ってきた催馬楽注釈書二点と催馬楽論一点(いずれも江戸期の著作)について、ほぼ校了を迎え、所蔵大学等へ赴いて出版にあたっての最終的な書誌確認等を終えた。また一条兼良『梁塵愚案抄』から現代にいたるまでの主な催馬楽注釈書を取り上げて、研究史の流れやこれからの課題などを記した「催馬楽研究史概論」についても、ほぼ校了した。 このほか、NHK番組「日めくり万葉集」の監修補佐を務め、2008年12月からは同番組を雑誌化した月刊誌「日めくり万葉集」(講談社発行)に、「万葉うひまなび」という連載を行っている。これは万葉びとの心のありかたについて植物・旅の歌・万葉集の配列など多角的に迫ることを目指した、学問的意義の高いアウトリーチ活動である。
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Research Products
(5 results)