2007 Fiscal Year Annual Research Report
一次元多層構造の希土類有機金属クラスターの気相生成と誘電率・発光特性の評価
Project/Area Number |
06J06050
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
細谷 夏樹 Keio University, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 多層サンドイッチ / 有機金属 / クラスター / レーザー蒸発法 / 分極率 / 電気双極子モーメント / 大量合成 / 低次元 |
Research Abstract |
溶媒などの環境因子を排除した気相反応系では、従来の溶液反応では得られないような新物質を創製することが可能となる。とりわけ、構成原子数ごとにサイズ選別された物質群はクラスターと呼ばれ、その成分によって希ガスクラスター、金属クラスター、炭素クラスター、半導体クラスター、分子クラスター、有機金属クラスターなどのように分類される。近年ではこれらのクラスターの材料化を目的とした大量合成法の確立が模索され、炭素クラスターのフラーレンやナノチューブなどの創製につながっている。本研究では、気相反応で見出された希土類多層サンドイッチ有機金属クラスターの大量合成法を試み、生成したクラスターの構造評価を行なった。 クラスターの生成法は気相に近い条件を満たすために、液体アンモニアを溶媒とした金属と配位子の直接反応を行なった。アンモニアは常温で蒸発するため、最終的に溶媒を完全に排除した状態でのクラスター生成が可能となった。さらに、合成したクラスターの幾何構造を評価するために、元素分析法、赤外分光法、ラマン分光法、磁気測定法などを用いた。 合成された有機金属クラスターはポリマー的な性質を示し、溶媒のアンモニア分子が完全に除去された金属と配位子が1:1の組成比で構成されていることがわかった。また、反応段階で金属から配位子への2電子移動を伴ってイオン結合を形成しており、陽イオンの金属と陰イオンの配位子が交互に積層した多層サンドイッチ構造であることが分光学的に明らかになった。すなわち、低次元有機金属クラスターの大量合成に成功したことを示唆しており、今後はクラスターの材料化に向けた研究発展が期待できる。
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Research Products
(2 results)