2006 Fiscal Year Annual Research Report
次世代透明光学デバイス用ナノクリスタル蛍光体の低温液相合成と特性評価
Project/Area Number |
06J06056
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
粕谷 亮 慶應義塾大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナノ蛍光体 / グリコサーマル法 / 色変換蛍光体 / シーライト型構造 |
Research Abstract |
筆者らは配位溶媒であるグリコールを入れた圧力容器中でのグリコサーマル反応によって青色→緑色変換YAG : Ce^<3+>ナノ蛍光体を合成できることをすでに見いだしている。本研究では、同法によって青色→赤色変換LiEuW_2O_8(LEW)ナノ蛍光体の合成の可能性を検討した。溶媒にはYAG : Ce^<3+>の場合と同様に1,4-ブチレングリコールを用い、原料に金属酢酸塩およびリンタングステン酸を圧力容器に投入して250〜300℃で2時間熟成を行った後、洗浄・乾燥過程を経て粒子を回収した。 TEM観察から一次粒子径は熟成温度の増大とともに増加し、300℃熟成では約50nmの一次粒子がネックを形成して合していた。X線回折測定によると300℃熟成によりシーライト型LEW結晶が生成した。しかし、合成から数時間が経過すると、擬シーライト型LEWに帰属される回折ピークが新たに観測された。相図によると、擬シーライト型はシーライト型よりも低温域で安定に存在する。このため、生成物を25℃で静置し、経過時間に対して各相の組成変化をX線回折測定から追跡した。この結果、シーライト相に由来するピーク面積は変化しない一方、擬シーライト相ではピーク面積の増大が認められた。粒子中に含まれる非晶質が擬シーライト相へ結晶化することが明らかになった。 擬シーライト相の生成を抑制するため、加熱処理により非晶質からシーライト相への結晶化を促進することを試みた。600℃で2時間焼成を行ったサンプルと行っていないサンプルを比較したところ、擬シーライト相の刑事変化は加熱処理によって抑制された。しかし常温下で同相の生成を完全に抑制することは困難であるため、今後はシーライト相以外に多形をもたないNaEuW_2O_8などを検討する予定である。
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