2008 Fiscal Year Annual Research Report
振幅・位相制御された超広帯域光パルスによる分子制御
Project/Area Number |
06J06059
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
矢澤 洋紀 Keio University, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超短光パルス / 高強度レーザ / 高強度物理 / 化学 / 分子反応制御 / 超高速コヒーレント制御 |
Research Abstract |
本年度は,広帯域レーザパルスに(パルス幅:10fs-40fs,波長:650nm-900nm)による振動核波束の初期形成を制御しうる可能性を見出すことを課題とし,線形周波数位相変調された広帯域レーザパルスによるエタノール分子の結合解離反応を調査した.結果,以下に示す新しい知見が得られた。 (1)C-C結合およびC-O結合を示す各解離イオン量が線形周波数位相の符号に依存することを明らかとした.すなわち,負の線形分散(長波長成分が先に進行する)パルス照射時と比較して,正の線形分散(短波長成分が先に進行する)パルス照射時ではイオン量が最大で6倍程度高いことが明らかとなった. (2)解離イオン生成比(C-O結合解離/C-C結合解離)を確認すると,負の線形分散パルス照射時と比較して,正の線形分散パルス照射時では,相対的C-O結合解離が最大で2倍〜6倍程度高いというこが明らかとなった.このような線形周波数位相変調による解離反応の非対称性は,これまでの単一波長レーザパルス(400nmおよび800nm)においては決して確認されていない実験結果である. 昨年度の核波束ダイナミクス観測の結果(レベルクロスポイントは波長に依存しない,核波束がクロスポイントにたどり着くまでに200fs必要)を踏まえると,以上の結果は振動核波束の形成とその後の解離反応が周波数位相に影響されうることを示しており,広帯域レーザパルスの周波数位相変調による振動核波束形成および解離反応制御の可能性を示唆することができた.
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Research Products
(2 results)