2007 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本黎明期における産業建築の研究-19世紀後の東アジア国際関係よりみて-
Project/Area Number |
06J06114
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
水田 丞 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ジャーディンマセソン商会文書 / 技術移転 / 産業建築 / 国際情報交換 / イギリス |
Research Abstract |
今年度は一年間、ロンドン大学東洋アフリカ学部日本研究センターの客員研究員(アカデミックビジター)としてイギリスに滞在し、19世紀のイギリスから日本への技術移転、産業建築の設立に関わる諸資料の収集に全力を投入した。主な調査成果は2件である。ひとつは、ケンブリッジ大学図書館においてジャーディンマセソン商会文書を閲覧し、膨大な書簡群の中から幕末明治初期の技術移転に大切な役割を果たしたと考えられる横浜や上海、香港のジャーディンマセソン商会、長崎、大阪、兵庫に支店を有したグラバー商会、トーマス・グラバーの書簡群を筆写し、貴重な情報源を得ることが出来た。特にグラバー商会が幕末から明治初期の日本における洋式産業建築設立へ関与した事例として、長崎居留地における茶再製場、薩摩藩による紡績工場と製糖工場、大阪造幣寮、そして長崎の小菅修船場、高島炭鉱施設を今後の主要な研究対象として考えられる。また、ケンブリッジ大学図書館、ロンドン大学図書館、大英図書館等の主要図書館に赴き、19世紀に出版された、製糖、造船、製紙、紡績、製茶等の諸産業に関わるハンドブック、技術書を多数収集し、当時の工場の図面、設備機械の図版を含む資料を得ることができた。今年度は海外に居住していたこともあり、また、資料収集に力を注いだため、論文の発表は控えることになった。来年度以降、今年度の研究成果を積極的に発表したいと考えている。
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