2006 Fiscal Year Annual Research Report
高機能バイオベースプラスチックの実用化に向けた新戦略
Project/Area Number |
06J06119
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
福島 和樹 京都工芸繊維大学, 工学科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | バイオベースポリマー / ポリ乳酸 / ステレオコンプレックス / 固相重合 |
Research Abstract |
植物資源から得られるバイオベースポリマーであるポリ乳酸(PLA)はS体(PLLA)とR体(PDLA)の混合によってPLLAより50℃高い融点を示すステレオコンプレックス型結晶(sc)を形成し、PLLAでは不可能だった構造部材への応用も期待されているが、成形可能な分子量範囲(kw>100k)ではsc形成が不完全になるという課題が残されている。これまでに、直接重縮合でそれぞれ合成した中分子量のPLLAとPDLAの溶融混合物の固相系後重縮合によって、ブロック間の近接効果のためscを形成しやすいS体とR体のマルチブロック共重合体(sb-PLA)の合成ルートを検討したが、溶融混合によってsc化させると固相重合での鎖延長効果が低くなることが確認された。 本研究では、上記の固相重縮合法を展開し、PLLA/PDLA粉末混合物を固相重縮合させて高分子量体(km>150k)を合成することに成功した。反応直後の生成物はホモポリマーとほぼ同様の性質を示したが、一度溶融処理することでscの単独形成が確認された。種々の構造解析の結果、主要なホモポリマー領域で鎖成長が起こり、粉末間の部分融着によって生成したsc領域/境界領域でブロック化やエステル交換反応が主として進行するため、生成物はラセミ配列を含む高分子量のホモポリマーと中重合度のsb-PLAのポリマーアロイであると結論付けられた。特にホモポリマー鎖中のラセミ配列とsb-PLAの存在が溶融後のscの単独形成のキーとなっており、固相重合前に熱処理(140-160℃)することで部分融着量を調節し、ポリマー構造とsc形成能を制御できることも見出した。本手法により、高重合度の完全sc化PLAがone-potで合成することが可能となった。また、高分子量PLLAと低分子量PDLAの溶融混合物の固相重縮合によっても高分子量sc化PLAが合成された。
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Research Products
(4 results)