2006 Fiscal Year Annual Research Report
集束イオンビームによる3次元ナノ構造体の機能物性探索とデバイス応用研究
Project/Area Number |
06J06163
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
中松 健一郎 兵庫県立大学, 大学院物質理学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 集束イオンビーム / 励起化学気層成長 / ナノ / スプリング / バネ定数 / 弾性定数 / プラズマパッタコーティング / 金 |
Research Abstract |
金属であるタングステンを加えることで、電気抵抗率が低いスプリングを作製できるのではないかと考え、作成と評価を行った。実験結果で、FIBにより堆積されたタングステンの電気抵抗は、DLCに比べて4桁下がることが分かった。その結果を踏まえ、タングステンが堆積可能なソースガスとして、タングステンヘキサカルボニル[W(CO)_6]を用いた。その結果、WCナノスプリングを作成することに成功した。その機械的特性評価を実施したところ、DLCナノスプリング同様の伸縮特性を確認した。また、W(CO)_6の昇華温度を変えることにより、WCスプリングのタングステン含有量をコントロールして作成したWCスプリングの機械的特性を評価したところ、タングステン含有量によりバネ定数が変化することが分かり、その含有量が多いほど、バネ定数は高くなるということが分かった。さらに、タングステン含有量が7%の場合、得られた横弾性定数の値が106GPaとなり、FIB-DLCのその値(70GPa)よりも高く、さらに強靭な素線のスプリングを作成することに成功した。 また、FIB-CVDとプラズマスパッタコーティング技術を用いて、金属材料でのナノスプリング作製を目的として研究を行った。本実験では、貴金属であり高い電気伝導率を持つ金を選択した。まず、FIB-CVDでDLCナノスプリングを作成し、酸素プラズマエッチングを用いてカーボン層を除去し、Gaコア部分のみを残すことに成功した。それに対してスパッタコーティングにより金をコーティングし、原子数比で金が83%、カーボン15%、Ga1%含まれる金属含有率の高い金ナノスプリングを作成することに成功した。また、金スパッタコーティング量をコントロールして素線径の異なるスプリングを作成し、その機械特性を評価した。その結果、コーティング量を増やし、素線径が大きい程、バネ定数の大きい硬いスプリングとなることが分かった。
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Research Products
(9 results)