2006 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオーム解析を用いたホヤ母性因子による発生運命決定機構の解明
Project/Area Number |
06J06181
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山田 力志 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | プロテオミクス / 質量分析 / ホヤ / 母性タンパク質 / 分化決定因子 / 遺伝子局在機構 / ゲノムワイド解析 / 初期発生 |
Research Abstract |
本年度、まず、ホヤにおけるプロテオミクス技術を確立する目的でホヤ初期胚を用い、LC/MS/MS測定における各種条件の検討を行った。合わせて、タンパク質の同定に用いるホヤタンパク質データベースの検討、サンプルの分画法の検討も行った結果、ホヤにおけるプロテオミクス解析を安定して行う事ができる系を確立した。この解析系を用い、各発生段階の胚、濾胞細胞、幼生付着突起、卵黄膜、ホヤ筋肉フィラメント等に含まれる、様々なタンパク質を網羅的な同定を行った。 特に未受精卵と受精卵については、細胞質画分、膜画分に分け、それぞれに存在するタンパク質を同定、比較を行った。結果、mRNA decapping enzyme、proteasome subunit等、両サンプル間で存在量に違いが見られると思われる候補タンパク質を得ることが出来た。これらは初期発生において重要な役割をしている事が予想されるので、現在、引き続き抗体などを用いた解析を行っている。又、解析過程において、ホヤ卵の主要成分として、ビテロジェニン由来タンパク質を同定、MS/MSスペクトルから得られた情報等を用い、ホヤビテロジェニン遺伝子の正確なアノテーションを行うと共に、ビテロジェニンは翻訳後にプロセシングをうけ少なくとも6つの部分に分かれる事を明らかにした。 さらに、受精直後から2細胞期の間の胚を用い、リン酸化セリン・チロシン・スレオニンに対する抗体を用いたwestern blot及び免疫沈降を用いた解析を行った結果、様々なタンパク質のリン酸化がこの時期に変化する事を明らかにした。これらのタンパク質を網羅的に同定するために必要な酸化ジルコニアを用いたリン酸化ペプチドを濃縮する系も確立することが出来たので、今後、この系を用いて、発生の初期に起こるリン酸化タンパク質の同定を行う予定である。
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