2007 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオーム解析を用いたホヤ母性因子による発生運命決定機構の解明
Project/Area Number |
06J06181
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山田 力志 The University of Tokushima, 疾患酵素学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | プロテオミクス / 質量分析 / ホヤ / 母性タンパク質 / 初期発生 / ゲノムワイド解析 / リン酸化 / 翻訳後修飾 |
Research Abstract |
前年度確立したホヤにおけるプロテオミクスに必要な情報学的基盤を充実させる目的で、質量分析データを扱うためのプログラムを開発、またタンパク質同定の検索用データベースに用いる信頼性の高い遺伝子モデルセットを費と出によるキュレーションを行い作成した。結果、昨年に比べ解析をよりハイスループット化する事が可能となり、ゲノム配列を用いた検索による新規ORF候補の探索、一次元電気泳動から得られる質量情報とその断片から得られる質量分析スペクトル情報とを利用したタンパク質のプロセシングパターンの網羅的同定も可能である事が明らかとなった。 前年度から行っている卵黄膜プロテオーム解析において、最終的に800個以上のタンパク質を同定し、さらに卵黄膜以外の卵プロテオームと比較する事で、卵黄膜に特異的な100個を超えるタンパク質を同定する事が出来た。それらの中には受精における自己非自己認識に重要と考えられるタンパク質が含まれている事を遺伝学実験の結果とあわせることで明らかにし、Harada, et. al., 2008にて共著者として報告した。さらに、残りの卵黄膜特異的タンパク質についても、ZPドメインを含むタンパク質11個をはじめ受精に重要な役割を果たすであろう多くの分子が含まれている事を明らかにした。 発生初期のプロテオミクスに関しては、前年度の未受精卵と受精卵(受精後60分)の比較に加え、受精後20分、40分の受精卵の細胞質、膜画分に含まれるタンパク質の同定を行い、それら4サンプルを比較することでより網羅的な情報を得ることを試みており、現在引き続き解析を行っている。又前年度、プロセシングパパターンなどを同定したビテロジェニンについては、リン酸化及び糖鎖修飾を受けている部位を明らかにし、抗体染色/ノザンブロットからホヤ成体では胃・腸に相当する領域で合成され、卵成熟過程で卵へ蓄積されていく様子が明らかとなった。
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