2006 Fiscal Year Annual Research Report
クロロペルオキシダーゼ活性を示すインゲン豆発芽特異的酸性ホスファターゼの機能
Project/Area Number |
06J06215
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
米山 徹 東京農業大学, 生物産業学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 酸性ホスファターゼ / クロロペルオキシダーゼ / バナジウム / 胚軸 / Pichia pastoris発現系 / 種子発芽 |
Research Abstract |
植物の発芽およびその後の胚軸の伸長には、多くの酵素群が関与する。我々は、インゲンマメの発芽胚軸中に新規酸性ホスファターゼ(KhACP)を見出し、その一部の構造および生化学的性質からKhACPは、従来型の植物ACPとは異なり、特異な構造を有し、さらにバナジウム(VO_4^<3->)置換によりACP活性を失うと同時にバナジウム依存性クロロペルオキシダーゼ(V-CPO)活性を示すことを報告した[J.Biol.Chem.,279,37477-84(2004)]。本系は、植物において初めて見出され、インゲンマメ発芽期間にCPOの触媒反応により、塩素化合物の合成に寄与する可能性を示した。本研究では、本酵素の詳細な分子構造、生体内局在および環境変化に対する応答を調査し、本酵素の発芽時における生理的役割を明らかにし、発芽に関わる酵素群と植物の発芽のメカニズムを総合的に解明する。 今回、酵母Pichia pastorisによる組換えKhACP(rKhACP)の大量発現系を構築した。rKhACPは、メタノール誘導後の培養上清から精製され、培養液100mlあたり約6mgの精製rKhACPが得られた。Natural KhACPの収量(胚軸600gあたり0.96mg)と比較し、活性を有する大量のrKhACPを得ることが可能となった。またrKhACP構造は、2つの60kDaサブユニットが非共有結合で結合したホモ2量体の糖タンパク質であり、Asp結合型糖鎖が付加されていた。一方、Natural KhACPは、一部フコシル化されたAsp結合型糖鎖が付加した56および45kDaサブユニットの組み合わせからなる3種類の2量体が混在する。このことからrKhACPは、糖鎖を除いて、KhACPの56kDaホモ2量体に非常に近い構造を有することが示唆された。さらにrKhACPの各種酵素化学的性質は、Natural KhACPと一部異なるものの、ほぼ同様であり、アポrKhACPにVO_4^<3->を置換した時、VO_4^<3->に対する親和性が低下するが、Natural KhACPと同様、CPO活性を示した。 本発現系により、一部の性質を除いてNatural KhACPとほぼ同様の酵素化学的性質を有する大量の組換え体を得ることが可能となり、本酵素の結晶化および抗体作成に供する試料として非常に有用であると考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Quantitative detection of gene expression and toxin complex produced by Clostridium botulinum serotype D strain 49472006
Author(s)
Kouguchi, H., Suzuki, T., Hasegawa, K., Mutoh, S., Watanabe, T., Niwa, K., Yoneyama, T., et al.
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Journal Title
Journal of Microbiological Methods 67
Pages: 416-423
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[Book] CURRENT TOPICS IN BIOCHEMISTRY 2006 (Eds. : Nagai, T., Niwa, K., Watanabe, T., and Ohyama, T.)2006
Author(s)
Yoneyama, T., Shiozawa, M., Niwa, K., et al.
Total Pages
150(1-17)
Publisher
Research Signpost